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まだまだあるよ! いま聴くべきNYインディー!

DERADOORIAN The Expanding Flower Planet Anticon/Tugboat(2015)

LAとNYを行き来しながら、ダーティ・プロジェクターズとしての活動(現在は脱退)やエイヴィ・テア作品への参加などで存在感を示してきた才女の初ソロ作。フリー・フォークや、インディー・クラシカルな佇まいそしてパンダ・ベアホリー・ハーンドンとも共振する〈声〉の据え方が美しい。 *ヌーディーマン

 

AVA LUNA Infinite House Western Vinyl(2015)

界隈でも比較的早い段階からインディー・ロックとR&Bの合流地点に辿り着いていたバンドの最新作。先の読めない展開とカラフルな歌の掛け合いはトーキング・ヘッズを彷彿とさせるが、デイヴ・フリッドマンのミックスが奏功してか、聴き方次第では昨今のサイケ勢と共振するようなトリップ感も味わえる。 *上野

 

TORO Y MOI What For? Carpark/HOSTESS(2015)

メキシカン・サマー勢と共にチルウェイヴの隆盛に一役買いながら、エレクトリック~ダンスな側面は別名義のレ・シンズに吸収し、この最新作ではバンド・サウンドへシフト。爽やかなサイケ/ソフト・ロック志向は、むしろ親交も深いOFWGKTA周辺とリンクする西海岸モードか!? *ヌーディーマン

 

CRYING Get Olde/Second Wind Run For Cover/THISTIME(2014)

チップチューン×ギター・ポップなサウンドがウリの男女3人組。同郷のアナマナグチみたいに多幸感溢れるハイパーなノリとはまた違い、どこか哀愁を感じさせるのが特徴だ。感情がイマイチ読み取れない女性ヴォーカルとピコピコ音のマッチング――Perfumeをフェイヴァリットに挙げているのも納得! *保坂

 

HEATHERED PEARLS Body Complex Ghostly/PLANCHA(2015)

ブルックリンを拠点に、ティコのマネージメントやレーベルA&Rとしてジャンルの交配にも暗躍するヤコブ・アレキサンダーのソロ2作目。ディープでノスタルジックな深海系アンビエント・テクノコンパクト耳じゃなく、摩天楼耳で聴くのも何だかロマンティックでどっぷり浸れます。 *ヌーディーマン

 

TANLINES Highlights True Panther(2015)

NYを拠点にティーンガール・ファンタジーグラッサー作品などを送り出してきたトゥルー・パンサーがプッシュするダンス・ポッパー。フロアでの機能性よりも歌に重点を置いたというこの最新作には、フレンドリー・ファイアーズ級の洒脱なポップソングが並んでいる。クリス・テイラーもプロデュース参加。 *青木

 

OBERHOFER Chronovision Glassnote(2015)

アニコレイェイセイヤーのサイケ感を踏襲しつつ、難解さを感じさせない人懐っこさが個人的にはツボだった前作から4年。存在を忘れかけていた頃に登場した本2作目は、その間に本格化したサイケ人気と距離を置くように、シンガロング型の王道ロックンロールで攻めてきた。意外と天邪鬼な集団だったんだな! *保坂

 

BIG GRAMS Big Grams Epic/Republic(2015)

シンセ・ポップ・ユニットのファントグラムビッグ・ボーイの合体プロジェクトによる初EP。ファントの音にはもともとヒップホップの要素も多分にあったので、相性の良さは言わずもがな。ロスタム・バトマングリトロ・イ・モワの名を出すまでもなく、ブルックリン勢はラッパーと絡むのがうまい! *青木

 

VIEUX FARKA TOURE & JULIA EASTERLIN Touristes Six Degrees/MUSIC CAMP(2015)

ブルックリン在住のジュリア嬢が、〈西アフリカのジミヘン〉とも称されるギタリストと共演。ブルージーかつエクスペリメンタルな音像は聴き応え十分で、ボブ・ディランフィーヴァー・レイのカヴァーにも挑戦している。変幻自在のメロディーとコーラスワークは、ダーティ・プロジェクターズに通じるか。 *上野

 

EL VY Return To The Moon 4AD/HOSTESS(2015)

NYシーンの頼れる兄貴ことナショナルのマットが、ラモナ・フォールズのブレントと組んだユニットの処女作は、本隊よりもリラックスした歌唱とファンク由来の小気味良いサウンドが魅力的だ。大人の哀愁や執念をサラッと忍ばせた佇まいに、ルー・リードのような色気を感じたりして。 *上野

 

BATTLES La Di Da Di Warp/BEAT(2015)

3人体制になって初となるこの3作目は、バンドのアイデンティティーを自問自答しながら、タイトなアンサンブルのなかにレゲエやお囃子までブチ込んだモダンなプログレ作品に。イアンの真顔な変態ギャグ・センスに、ニューヨーカーらしいハードコア精神を感じるのは俺だけか? *ヌーディーマン

 

PORT ST. WILLOW Syncope People Teeth/flau(2016)

水彩画のようにじわっと広がり、徐々に変化していく幻想的なアンビエントスロウコアを展開した、女性マルチ奏者による2作目。RVNGからのリリースで知られるビング&ルースのデヴィッドをはじめ、ウィル・エプスタインピーター・シルバーマンアントラーズ)の好サポートが光る。 *青木

 

PASSION PIT Kindred Columbia/ソニー(2015)

衝撃のカミングアウトはさておき、〈妻に宛てた恋文〉というこの3作目はとにかくキャッチーで昂揚感溢れるエレポップの玉手箱。オートチューンをたっぷりかけた歌声には人生の喜怒哀楽が詰まっており、リン・ウィーヴァーのプロデュースでも発揮されたマイケルの才気が迸っている。ソロ体制に戻って正解! *上野

 

SOLDIERS OF FORTUNE Early Risers Mexican Summer/SIGNS AND SYMPTOMS(2015)

インターポールチャヴェスオネイダ、そしてエンドレス・ブギーのメンバーが集ったNYインディー界のスーパー・グループ。60年代にタイムスリップしたかのような直球ロックンロールは、MC5ストゥージズ愛でいっぱいだ。ゲストがまた豪華で、スティーヴン・マルクマスギャズ・クームスの名も! *上野

 

TYONDAI BRAXTON HIVE1 Nonesuch/BEAT(2015)

バトルス脱退後、先祖返りするようにエクスペリメンタルなインスタレーションを追求した本作は、言わばハイファイでハイレゾな3Dテクノ・アート。OPNアルカを中心にシェアされてきた感覚を凌駕し、〈ヴェイパーウェイヴ〉や〈テクノ〉の有り様を問い直してみせた唯我独尊の怪盤だ。 *ヌーディーマン