より獰猛に進化した黒き蛇が、〈太陽への反逆者〉となって絶対的な存在に挑む――激情の先に光の道を追い求める、メタリック・ダーク・ファンタジーの第2章!

 すべての楽曲を手掛ける黒瀬圭亮(コンポーザー/マニピュレーター)を中心に、歌詞も担当する上木彩矢(ヴォーカル)、大村孝佳(ギター)、中村泰造(ベース)、笹渕啓史(ドラムス)の5人から成るUROBOROSが、セカンドEP『ZODIAC』を完成させた。ゴシックかつ激しく幻想的な世界観が全開の前作『ANOTHER ARK』から約半年で放たれた本作について、「前作が〈名刺〉だとしたら、今作は完全に〈攻撃〉」と黒瀬が説明するように、どの曲もよりヘヴィーに、よりドラマティックに、より激情的に振り切れたものとなった。そんな本作のテーマは〈太陽への反逆〉である。

UROBOROS ZODIAC ポニーキャニオン(2016)

 「太陽には、〈制約〉や〈常識〉とか、〈権力〉みたいなイメージが自分にはあって。そういう絶対的なものに届きたいし、それをひっくり返したいんですよね」(黒瀬)。

 「ただ、前作から一貫して、我々はあくまでもダーク・サイドであることを意識してるんです。そんな自分たちの反骨精神や、これから私たちが何を伝えていくのか、何を旗に掲げようとしているのかが、明確に表れていると思います」(上木)。

 ストリングスにパイプ・オルガン、そして雷鳴が鳴り響くイントロからしてシンフォニック・ゴシック・メタルな世界が大爆発のタイトル曲や、激烈なギターで幕を開ける“Zoetrope”、EDMライクなシンセを導入した“FROM HELL”など、本作には「いままでよりも3割増の破壊力」(黒瀬)という全7曲が収録されている。

 「ダーク・ファンタジーでゴシックなものを作りたいけど、モダンであることは忘れてはいけないと思っていて。昔のものをただ焼き直しするのもつまらないので、いまノリやすい(であろう)音は取り込んでますね」(黒瀬)。

 また、「もしカラオケに入ったら採点機能で何点取れるかやってみてほしい(笑)」(上木)と語るほどに、どの曲もメロディーラインの起伏が激しく、またどれもがシアトリカルな仕上がりになっている。それを印象付けているのがストリングス。時に切迫感、時に優麗さを楽曲に与えているが、ミッドテンポの“Lunar eclipse”はその後者。「いままでの自分なら絶対に書かなかった」(黒瀬)というこの曲は、儚げでありながらも、優しさや強さを感じさせる上木の歌声がなんとも心地良い。

 「この曲は、〈何を信じて大切にするか〉というのがテーマで。いまの世の中、音楽もそうですけど、何もかもが自分の好きなものだけをチョイスできるじゃないですか。そのなかで、人として感じる悲しみや痛みを忘れたくないんですよね。それをしっかり表現できたと思います」(上木)。

 そして、楽器隊が至るところで超絶技巧を繰り出すサウンドさながらに、言葉にもさまざまな仕掛けが施されているのも彼らの作品の特徴。例えばインスト曲“Chokmah”の表題は、カバラという神秘思想に登場する〈セフィロトの樹〉の中で数字の〈2〉に値する言葉で、〈知恵〉という意味もある。それは本作がUROBOROSの〈2作目〉であり、前作での経験から得た〈知恵〉を集結した作品であることから名付けられたものだ。そのように張り巡らされたギミックを紐解くのも、彼らの作品の楽しみ方のひとつだろう。それでいて、歌詞は「自己満足の戯言にしたくない」と上木は話し、黒瀬もそれに頷く。

 「悲しみや怒りや憤りを歌っているから強い言葉にはなるんだけど、決してネガティヴではないんですよね。〈そんなもん壊しちゃえばいいさ〉っていう。そうやって進んで行った先に、やっぱり光があってほしいんです」(上木)。

 あくまでも闇の存在ではあるが、進むのは光の道――。UROBOROSの攻撃態勢は、完全に整っている。