ブーレーズ、バラケなどフランスの作曲家というものは音楽の歴史を切り拓いてきたが、リュック・フェラーリはその中でもとりわけアヴァンギャルドな作曲家だと僕は思う。器楽曲、電子音楽で傑作を残す一方で「ヘールシュピール(≒ラジオドラマ)」創作においても偉大な足跡を残した。本書は詩的な文体で綴られる彼の「自伝」、そしてヘールシュピール作品「センチメンタル・テールズ」を初日本語訳として出版。巻末には本書の訳を担当した椎名亮輔によるフェラーリ小伝、そして筒井はる香によるヘールシュピール小史も収録。文字になってもなお感じる彼の芸術性が、彼の“功績”を物語っている。