ジャパン解散以降のデヴィッド・シルヴィアンのソロ・キャリアをまとめた評伝が待望の翻訳化。長年に渡りシルヴィアンを追ってきた著者は、作品を取り巻いた当時の状況やそこへ投影されたシルヴィアンの哲学や精神性などを紐解くため、彼の発言を方々から収集し、世界各地に点在する(日本を含む)ゆかりの地にまで取材で赴く力の入れようだ。本書で取り上げられているのはソロ名義やコラボレーションだけでなく、客演として参加した楽曲にまで及んでおり、ファンにとっては必読の書といえるだろう。著者自身が熱心なファンであり、そんな視点も隠さずに盛り込まれているところに好感がもてる評伝でもある。