以前書いたこちらの記事〈秩父は燃えているか――笹久保伸さんに注目〉から約3か月、当時はただただ〈秩父前衛派〉というワードが気になって、別段狙いや意図があるわけでは無かったのですが……いよいよ、本当に、待ったなしで、笹久保さんの周辺が凄いことになってきている!! ということで本日のブログは、笹久保さん関連の作品リリースが今月から来月にかけて集中するので、そのあたりの動きを改めてまとめてみたいと思います。
まず、建築/美術/映像/音楽などさまざまな分野のクリエイターと交流していたグラッフィック・デザイナー、粟津潔さんと、演出家/前衛的美術家/パフォーマーといった多彩な側面を持つ鬼才・飴屋法水さん、秩父前衛派がコラボした書籍&CDが、「すてたろう」というタイトルで8月31日に到着。粟津さんの未発表写真と劇画に笹久保さんが曲をつけ、秩父前衛派の青木大輔さんと共に演奏。飴屋さんが朗読するという総合的なアート作品になっています。
そして、8月29日から31日にかけて神奈川・ヨコハマ創造都市センター(YCC)で行われれる公演〈グランギニョル未来〉が相当ヤバい。だって「すてたろう」の面々が出演するんですよ(ギタリストである笹久保さんがお芝居?)。そもそも公演を企画した同名のユニットが、飴屋さん&批評家の椹木野衣さんによるものなのですが、なんと椹木さんは秩父のご出身! やっぱり秩父は燃えているんだよっ!!……と少し取り乱してしまいましたが、笹久保さんとアルバム『アヤクーチョの雨』を作ったアンデスの唄い手、イルマ・オスノさんや、あのPhewさん(!)、音響にはzAkさん(!!)といった孤高の才能が集う予測不可能なこの公演。残念ながらチケットは完売のようですが、とにかく〈秩父〉をキーワードに地殻変動が起こっていることを確信させてくれるトピックではあります。
本題からズレましたが、笹久保さんがこのところ熱心に取り組んでいた秩父の失われた仕事歌をよみがえらせるアルバム『秩父遥拝』は9月7日の発売に。以前から弾き語りの動画がアップされていたのでイメージは掴めていたつもりだったのですが、直近で公開されたアルバムのダイジェスト動画で聴ける音はエレクトリック/アコーステイック楽器が入り混じるアレンジで、ジャンルや時代や国籍が分からなくなるようなオリジナルな音像に。さらには、高橋悠治さん編曲の楽曲もあるとのこと(マジか…)。これは実際しっかり聴いてみないと始まらなそうだ。
そして、UK在住の現代音楽家・藤倉大さんとのコラボ・アルバム『Manayachana』(デヴィッド・シルヴィアンが絶賛)は、まさかまさかのソニーからリリース! こちらは以前公開されたものから新しい視聴コンテンツはありませんが、むしろイマジネーションを自ら掻き立てつつ待とうではありませんか。海の向こうにChichibu Avantgardeの名前が轟く日も近い……。※発売日は9月17日です。
さらに、こんなふうに日に日に注目度が上がっていく秩父前衛派だけに、特集を組む雑誌まで登場。音楽&カルチャー誌の「mazurek(マズルカ)Vol.02」が9月に刊行予定で、椹木さんや音楽評論家・松山晋也さんの論考などを収録。読みたい! というか、知れば知るほど秩父が気になりすぎる!という想いがどうにも止められなくなったので、もうこの際、自分の足で秩父まで行って確かめてきたいと思います。東京在住の筆者にとって、もっとも近くてもっともミステリアスな秘境、秩父。そこで胎動する運動を目撃/体感/記録してきます。乞うご期待!