コラム

ロバート・ゼメキスが模索した3DCGの成果! 地上110階の綱渡り描いた究極の体感型ムーヴィー「ザ・ウォーク」の本当の魅力

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手に汗握る高さ411m綱渡り体感ムービー。でも、それだけでは終わらせないゼメキスの本領発揮!

 1974年。高さ411m、地上110階の落成前のワールドトレードセンターのツインタワーにワイヤーを張り、命綱なしで綱渡りをした男の話である。彼の名はフィリップ・プティ。この実話は、2009年にアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞した『マン・オン・ワイヤー』でご存知の方が多いかもしれない。本作は、この物語を監督したのがロバート・ゼメキスであることが肝である。

ロバート・ゼメキス,ジョセフ・ゴードン=レヴィット ザ・ウォーク ソニー・ピクチャーズエンタテインメン ト(2016)

 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や『フォレスト・ガンプ』の監督ロバート・ゼメキスは21世紀に入って『ポーラ・エクスプレス』『ベオウルフ』『Disney'sクリスマス・キャロル』の3作で、3DCGの可能性を模索する。必ずしも成功とはいいがたい3作の成果が本作で結実する。クライマックスは、最新映像技術による30分以上にも及ぶ綱渡りシーンである。勿論、ネタバレ以前に結末はわかっている。主人公は、生きて成功を収めるのだが、それが分かっていても主人公の一挙手一投足に、高所恐怖症でない方でも生きた心地がしないだろう。手に汗を握るどころか、全身発汗である。その意味で、できれば劇場(それもIMAX)で、3Dでご覧いただくのが最上ではあるが、ソフトでも3D版があるのでそちらをお勧めしたい。

 本作の魅力は究極の体感型ムービーとしてだけではない。無許可で綱渡りをするため、仲間を集め、計画を立て、実行に移すが、予想外の事態が起こるサスペンスという『ホット・ロック』のような一種のケイパーものとしても極上だ。

 それともう一つ。それは、特に 『コンタクト』『フライト』に色濃いゼメキスの“神”のモチーフだ。ハリウッドのど真ん中で“神”に触れてしまった人間たちを描き続けるゼメキスの作家性が、本作をますます味わい深いものにしている。

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