祝! 60周年――映画史に残る、ミュージカル映画の最高傑作が4K Ultra HDで甦る!

 製作45周年、50周年とお祝いをしてきた「サウンド・オブ・ミュージック」の、60周年もお祝いできることはなんと喜ばしいことでしょう。多くの映画が消費されてしまう現代において、こうして残っていることは不朽の名作である証と言えるでしょう。

ロバート・ワイズ 『サウンド・オブ・ミュージック 製作60周年記念版』 ウォルト・ディズニー・ジャパン/ハピネット・メディアマーケティング(2026)

 完璧と言えるミュージカル・シーンの数々を深堀りしていては、すぐに文字数オーバーとなってしまうので、ここではあまり語られない、監督ロバート・ワイズの凄さについて少しだけ触れておきましょう。

 彼のもうひとつの傑作ミュージカル映画「ウエスト・サイド物語」が作られたのが1961年。その4年後にワイズ監督は〈空撮〉という同じ手法を用い、ブロードウェイ・ミュージカルとその映画化作品との違いを示します。すなわちニューヨークの街と同じようにアルプスの山々を捉え、丘の上でジュリー・アンドリュースが歌い出すカットまでの演出です。これはどう転んでも舞台では無理、映像でしか出来ません。

 もう一つの類似演出は逆に舞台的で、トラップ一家の長女リーズルを演じるシャーミアン・カーが魅力的に歌い踊る「私は16、もうすぐ17歳」の場面です。ここの構図は「ウエスト~」におけるトニーとマリアが初めて出会う〈体育館でのダンス〉の横からの構図と、実は同じなのです。こうした応用を利かすことに長けたワイズ監督だから、たった5年の間に映画史に燦然と輝く2大ミュージカル映画を世に送り出せたのではないでしょうか。

 今回ディズニーの修復チームが65mmフィルムを使って新たにリマスターをしたことで、映像はさらに解像度が増し、出演者の瞳の色から豪華なセットの造り、ザルツブルグの美しさなどがはっきりと分かり、見どころが格段に広がっています。

 次の世代へ語り継がれるべき映画の1本です。映画館での上映もありますが期間限定なのでもし見逃してしまったら、この60周年記念盤のBlu-rayディスクで見て、あなたも「サウンド・オブ・ミュージック」の語り部になってください。