カナダはトロント出身、例に漏れずミックステープのリリースと数々の客演で名を馳せ、さらには同郷のドレイクとのビーフの噂も話題となって見事にメジャー契約を獲得したトリー・レインズ。そのドレイクばりに歌えるラッパー(ラップできるシンガー?)という二刀流の武器を最大限に活かし、ブラウンストーンの名曲をサンプルした先行カット“Say It”とタント・メトロ&デヴォンテの人気チューンを下敷きにした“Luv”は連続スマッシュ・ヒットを記録済みだ。それらを含め、昨今のヒップホップ作品とは真逆を行くゲスト・アーティストなしで制作されたのがこのファースト・アルバム。本人の歌とラップにフォーカスを当て、パーソナルな体験もベースにしたスキットも交えて綴るコンセプチュアルな内容は、ケンドリック・ラマーの傑作『Good Kid, M.A.A.D City』にも例えられているようで、その詞世界と夜なムードのサウンドがマッチしている。相棒のプレイ・ピカソや、ミゲルで知られるハッピー・ペレスらが制作に参加。