wrap around her words
[緊急ワイド]女性ラップ、百花繚乱
それぞれのスタイルと言葉を携えて、彼女がマイクを握りはじめた!

★Pt.1 lyrical schoolの想像する未来はいつだって明るい! 大江千里やサ上ら参加し、唯一無二の作品性見せた新作『guidebook』を語る
★Pt.2 日本語ラップ・シーン賑わせるS7ICKCHICKs、LOW HIGH WHO?の新星・春ねむりなど女性ラップの注目リリース

 


最近のチェックしとくべきフィメール皿

RHYMEBERRY

 2年ほど前に同種のまとめ企画ページをやった時と同じようなことを書いておきますが、〈女性ならではの~〉〈男勝りな~〉などという形容が流石に時代錯誤になるほどラップする女性アーティストの数は増えていますが、フリースタイルのブームが定着したり、水曜のカンパネラボンジュール鈴木のような存在が広く浸透することになったこの1~2年の隆盛はその時と比べても明らかで、少なくともラップという表現が多くの受け手にとって特殊なものではなくなり、その多様性も認められるようになってきたぶん、必然的にそれに取り組む女性たちも多方面で増えてきているということなのでしょう。

 もちろん前回の企画や本頁に掲載した他にも、配信曲に続く新作アルバムがマジで待たれるMARIA、まだCD作品のないCHARLESちゃんみな……と注目を集めている女たちは多様なエリアの多様なシーンに数多く存在しています。好きなスタイルを探していろいろチェックしてみましょう! *bounce編集部

 

泉まくら アイデンティティー 術ノ穴(2016)

nagacoに全曲のビートを委ねた3枚目のフル・アルバムでは、より歌に寄せた曲もあればストリクトリーなラップを聴かせる曲もあり、表現は親しみやすくも孤高の域へ。ここ数年でフォロワーと呼べるタイプの人たちも多く登場したが、この風情はそうそう出せるものではない。 *出嶌

 

COPPU Fate IN DITCH(2015)

〈ヒップホップ〉や〈女性〉のステレオタイプに捉われないMCとして注目を集め、マイペースに活動する彼女。制作中に妊娠や出産を経験したこの3作目でも、そんな日常に透徹したラップで向き合う姿が清々しい。スリチクの面々ら女性MC10人で送る“That's my music”が圧巻。 *北野

 

kiki vivi lily
 

kiki vivi lily lovin' you VYBE(2016)

Ittoとの絡みで知られるシンガー・ソングライターのゆり花が新名義で届けた初作。フレンチ・ポップ風の洒落たコード感やウィスパーな歌い口に太いグルーヴを注入したスタイルは、ライトメロウな気持ち良さがあり。直近のSweet William曲に続き、今後客演も増えそう。 *北野

 

MCpero MCperoの一人遊び OMAKE CLUB(2016)

TOKYO HEALTH CLUBの“CITYGIRL 2015”で注目されていた彼女のフィジカル・デビュー作。独特の体温を帯びた一人遊びを支えたのは、THCのTSUBAMEYOSA食品まつり、さらにリリスクでもお馴染みの泉水マサチェリーら。レイドバックした語り口が耳に心地良い。 *出嶌

 

MARIE PANdeMIC CLUTCH(2015)

メロディアスなフロウを武器に名古屋で活動するラッパーのセカンド・アルバム。男女の掛け合いモノからメロウなファンクまで多様な曲を聴かせるなか、スリチクのAYA a.k.a PANDAAA-StyleStrokEVA a.k.a.杏仁といった各地の盟友たちとマイクを回す“SURVIVE”が熱い。 *出嶌

 

MIRI "Hiphop"ト名乗ッテモイイデスカ PARTICLE/SecondFactory(2016)

かつてのオールド・スクールな作法も今は昔、自身でもリリックを書くようになってライムベリーでもバトルでもストイックな成長を見せる彼女が、高校卒業を機に発表したソロ作。迫力を増したマイク捌きで晋平太ERONEとも渡り合う姿が逞しい。 *出嶌