INTERVIEW

MASSAN×BASHIRY、2人の揺るぎない阿吽の呼吸と新たなチャレンジで心に届けるスピード感速めた新作『阿吽』を語る

MASSAN×BASHIRY、2人の揺るぎない阿吽の呼吸と新たなチャレンジで心に届けるスピード感速めた新作『阿吽』を語る

偶然の出会いから始まった二人だけのセッションは、全国に広がった絆を通じて、さらに大きな輪を描きはじめている! ツーカーな二人が阿吽の呼吸で吐き出した渾身の新作!

「例えば“孤独のパントマイマー”は、前作のジャケット撮影を洋服の仕立て屋さんで行った際の待ち時間にBASHIRYがギターを弾きはじめて、〈おっ、それボイスメモ録るからループして!〉って言ったものを持ち帰って曲にしました(笑)。〈こういうふうな曲を作ろう〉ってことよりもそのほうが自然で早いんですよね。そのとき感じた感覚を大事にして二人で完結させる工夫をセッションしていきますね」(MASSAN)。

 そんなオーガニックな行程から生まれるのは、奥行きと懐の深さを窺わせる大きな歌声、そしてメロディアスかつパーカッシヴに弾むギター——つまりマスバシことMASSAN×BASHIRYという名前のグルーヴと呼吸だ。その成果がふたたびアルバムという形にパッケージされたわけだが、今回の『阿吽』は前作『Timely』以上に耳に入ってから心に届くまでが速い。

MASSAN×BASHIRY 阿吽 Playwright(2016)

「〈心に届くまでのスピード感〉というのは言い得て妙で、そこはマスバシの特徴かもしれないですね」(BASHIRY)。

「今回も二人でアレコレしながら曲作りして、ライヴして、前作からの新たなチャレンジを楽しめたと思います」(MASSAN)。

2014年作『Timely』収録曲“Timely”
 

 Cello a.k.a Massanとしてソロ作も残しているソウルフルなラッパーのMASSANと、bohemianvoodooのギタリストとして名を馳せてきたBASHIRYが出会ったのは、およそ5年ほど前のこと。MASSANの楽曲のリミックスにBASHIRYが参加したことをきっかけに挨拶を交わした二人は、たまたま家が近いことを知り、遊びに行ってすぐにセッションを始め、近所の駅でストリート・ライヴを敢行したそうだ。

「そのときの音源をYouTubeにアップしたらライヴのオファーが来ちゃった流れです。作品を出すことはイメージしてなかったんですが、ライヴのたびに〈リリースすべきだよ〉とたくさんの声を受けてファースト・アルバムになりました」(MASSAN)。

 相棒を「何と言っても一発で入ってくる彼のギターセンスですね。上手い人や超絶な技巧者は世界中にたくさんいるんでしょうけど、彼からしか出ない音色なりザラつきなり哀愁感が非常に魅力的で、自分もその音に魅せられた一人です」(MASSAN)、「飾らない経験値で語る歌詞や人間性が、リスナーの心も響かせてる気がします。そんなMCです」(BASHIRY)と形容する二人。前作『Timely』はコンビのみで完結させたものだったが、今回はナカムラヒロシi-dep)との共作や椎名林檎“本能”のカヴァーという新機軸もあり、さらに「前作を出したことで出会えた仲間など、マスバシとしての数年間の出会いを綴じ込んだ盤にしたかったんです、卒アルみたいな(笑)」とBASHIRYが話すように、Sunapanng(ベース)、KAZU(パーカッション)、豊田稔(パーカッション)といった馴染みの プレイヤーも交えて録音されている。

「音数が少なければ少ないほどごまかしが利かないぶん、心の奥底まで届いた時の粘着力みたいなのは凄いと思っていて、前作はそれが体現できたアルバムです。今回はそれを踏まえて、この二人のグルーヴを壊さないように+αすることがテーマでした。揺るがない2馬力の中で、新たなリズムだったり曲調にチャレンジできたのが前作との違いだと思います」(MASSAN)。

「単純にバンド・アレンジしちゃうと、特にギターはバンド側に出音が寄ります。そうするとマスバシ感は消えて〈MASSANのバンド〉になっちゃうんですね。1MC+1ギターという〈物足りなさ〉を儚く残したベーシックを崩さないよう、編成/アレンジをMASSANとめちゃくちゃ議論しました。そんななか二人以上でやろうと思ったのは出会いの産物。彼らはマスバシのポテンシャルを、曲やアレンジごとレヴェルアップしてくれる方々でした。あったほうがいいね!じゃなくて、この曲には彼らがいなきゃダメだね!という所からの参加オファーでした」(BASHIRY)。

 その自然な広がりは、さながら二人だけの楽しみのために行っていた路上セッションの周りに何重もの人垣が生まれていくような光景をイメージさせる。温かみと気安い心地良さに溢れたこの『阿吽』から、また新しい輪が大きく広がっていくことは間違いないだろう。

 

 

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