インタビュー

布袋やレベッカのカヴァーも! 青野美沙稀、父から受け継ぐスピリットを糧にロカビリーへ新しい魅力吹き込んだ新ミニ作を語る

青野美沙稀『1959~Magical Rockabilly Night~』

布袋やレベッカのカヴァーも! 青野美沙稀、父から受け継ぐスピリットを糧にロカビリーへ新しい魅力吹き込んだ新ミニ作を語る

 「気付いたら家で音楽が流れているのがあたりまえだったので。まだ立てない頃からテーブルにつかまって、父の曲に合わせて踊っていたらしいです」。

 人気モデルとして活躍しながら音楽活動にも大きな情熱を注いできた、彼女の名は青野美沙稀。そして80年代からBLACK CATSMAGICのメンバーとして、日本のロカビリー・バンドの歴史を作り上げてきたドラマー、父の名は久米浩司。ふたりの思いがひとつの作品に結実した、それが青野美沙稀のニュー・ミニ・アルバム『1959 ~Magical Rockabilly Night~』だ。

青野美沙稀 1959~Magical Rockabilly Night~ ユニバーサルGEAR(2016)

 「自分のやりたいように流行りのロックやポップスを歌ってきたんですけど、何かしっくりきてない気がして、立ち止まって考えた時期があったんですね。そんなときに父がライヴを観に来て、初めて感想を言ってくれたんです。音楽活動については口出ししてこなかったし、自分も頼ろうとは思ってなかったんですけど、〈こんなに歌えるようになってたんだね〉と言ってくれて、背中を押されて。もっと自分らしく表現できる音楽をやりたくて、いちばん身近な音楽だったロカビリーを選んだという感じです」。

 アルバムは父・久米浩司の監修のもと、その旧友・真崎修をはじめとするロカビリーの歴史を担ってきたサウンド・チームが全面的にバックアップ。シャッフル・ビートのウッドベース、たっぷりディレイをかけたギターという王道ロカビリーのマナーを踏まえ、リズムや音色を現代的にブラッシュアップした“Midnight of trip”を筆頭に、スウィンギーなビートとキュートな歌声の相性はバッチリだ。

 「自分の曲としてロカビリーのオリジナル曲を歌うのは初めてだったので、“Midnight of trip”を初めて聴いたときは〈大丈夫かな?〉と思ったんですけど、歌ったら歌えちゃったというか(笑)。普通に〈これだな〉という気持ちでしたね」。

 アメリカでロカビリーが絶頂を迎えた年であり、後にストレイ・キャッツでネオ・ロカビリーの旗手となるブライアン・セッツァーが生まれた年でもある〈1959〉を表題に据えたコンセプト・アルバム。〈もしも現代の女の子が1959年にタイムトリップしたら?〉をテーマに描かれた全6曲は、それぞれ独立したワンシーンでありつつ、トータルで繋がった物語にもなっている。

 「“ガールズ狂想曲”はデート前の慌ただしい様子を歌った歌で、すごくリアルですね。服を選びながら〈これじゃないんだよ!〉って、ちょっと怒り気味なのが私っぽいと思います(笑)。そのあとの“sweet drive”でデートに出かけるんですけど、好きな人の隣にいるとテンパっちゃって自分らしくいられないという、乙女な女の子のお話です。レコーディングのときも主人公になりきって歌いました。普段の私はこんなに乙女じゃないですが(笑)」。

 布袋寅泰の“バンビーナ”、レベッカの“フレンズ”という2曲のカヴァーも聴き応え十分。時にコケティッシュで、時にメランコリック、ヴォーカリスト・青野美沙稀の実力は本物だ。

 「“バンビーナ”は、小悪魔な世界観がすごく可愛いんですよ。“フレンズ”はもともと大好きな曲なんですけど、友達に恋してしまうという切ない雰囲気をどう表現するか。難しかったけど歌えて良かったと思います。全曲キャラを変えて歌っているので、1曲目から最後までを絶対聴いてほしいなと思います」。

 父から娘へ受け継がれたスピリットが、古き良きロカビリーという音楽に新しい魅力を吹き込む。なんて素敵な物語だろう。音の隅々にまで詰め込まれた愛と情熱を、ぜひ感じ取ってほしい。

 「父は大満足だと言ってました(笑)。もともとロカビリーを愛している熱い方たちにはもちろん、ロカビリーを知らない世代にも好きになってもらいたいですね。いちばん仲の良い友達に聴かせたら〈新しいね〉と言ってくれたので、自分が音楽やファッションを通じて、ロカビリーの魅力を若い子たちに広めていける存在になりたいと思っています」。



青野美沙稀
92年生まれ、横浜出身のシンガー。父親がBLACK CATSの久米浩司、母親がモデルという環境から、幼い頃よりロカビリーをはじめとするさまざまな音楽に親しんで育つ。ファッション誌の専属モデルとして10代で活動をスタート。2011年からはコンスタントに配信シングルを発表してシンガーとしての活動も並行させていく。以降はウェブマガジンの編集長を務めるなど活躍の場を広げる一方、徐々にライヴ活動を本格化。今年に入って、父のルーツであるロカビリーを自身のアイデンティティーとして、音楽活動への専念を発表。このたびメジャー・デビュー作となるミニ・アルバム『1959~Magical Rockabilly Night~』(ユニバーサルGEAR)をリリースしたばかり。

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