始動! ハトリミホの新プロジェクト〈ニュー・オプティミズム〉が目指すこと
本田ゆかとのチボ・マットの活動のかたわら、ソロ活動からゴリラズへの参画まで思うままの表現活動を続けているハトリミホの新プロジェクトが、ニュー・オプティミズムだ。「7年前から始めたプロジェクトです。きっかけは曲があったのと、(ヴァンパイア・ウィークエンドにいた)ロスタム・バトマングリに会ったこと。それで、少しづつ曲を作っていきました」
ニュー・オプティズムとは、彼女が現在展開しているファッション・ブランドの名前でもある。“新しい楽天主義”、そもそもこの名前はどうしてつけたのだろう。「(2001年の)9.11のあと回復してきてはいましたが、NYは今と比べるともうちょっと閉鎖されている感じがありました。それで、ポジティヴなエネルギーを取り戻したいと思ったからですね」
ところで、彼女は現在、長年住むNYに大きな変化を感じているという。「特に最近、NYにはやっぱり面白い事が沢山あるなと感じています。だから、ワクワクしていますし、私は久しぶりにNYにいて良かったと思っているんです」
そんな所感のもと、彼女はミックス・テープを作る感覚で、ニュー・オプティズムの7曲入りEP『AMAZON TO LeFRAK』をまとめた。
「響きはフランス語みたいですが、レフラクはクイーンズにある地区の名前。はっきり言ってゲットーなんですけど、そこからラッパーやバスケットボール選手が出ていて、格好がいいイメージがあります。そして、アマゾンは、ブラジルのですね。前にソロ・アルバムを出したんですけど(2006年作『Ediysis』)、その最後の曲が《アマゾーナ》いう曲で、ボサノヴァっぽいおとなしい曲でした。そこから逞しいクイーンズのゲットーに行くというチャレンジのストーリーが、私の中にはあるんです」
そこには、先に名前があがったロスタムと作った《Howling》をはじめ、肉声とサウンドが拮抗しあう胸騒ぎ感満載の現代ビート曲が並んでいる。「ビートはヴィタミン剤みたいなもの。NYなんてコンクリート・ジャングルみたいなもので、すごくファイナンシャルな世界ですから、それに負けないエネルギーを作るためには、ダンス・ビートがすごく重要だと思っています。そういう明るいエネルギーを持つプロジェクトをやりたかったんです」
また、NYが持つ雑食的な活力とともに、子供のようなキラキラした好奇心旺盛さを同作は山ほど抱える。「子供の時と変わってないんですよ。だから、“ニュー・オプティミズム”はその頃から持っていたような気がします。それが、やっと形になったかなとも思いますね」