カナダ出身の日系シンガー・ソングライターが、前作から4年を経て3作目を発表。近年ではドレイクが推していた同郷のスラッカデリクス『The Other Side Of Tomorrow』(2012年)において、シングル“Keep Breathing”を含む2曲でヴォーカルを務めていたのが印象的だったが、その客演が遠因になっているのだろうか、従来のフォーク路線から一転してほぼ全編がドレイク〜ウィークエンドの流れを汲むアンビエントR&B仕様となった。もっとも、彼らの作品に顕著な耽美性は希薄で、その幻想的な音世界が放つ崇高美は時にシガー・ロスを彷彿とさせるほど。“Blue Velvet Sea”なんて表題の曲で始まるから……というわけではないけれど、まさに紺碧の海の奥深くに沈み込んでいくような美しさがある。