OVOの弟分パーティネクストドアを迎えてR&B寄りのコラボ作としたのは、いまドレイクひとりでラップ・アルバムを出しても苦境が悪化するだけと判断したからだろうか。“GIMME A HUG”では例の確執と各方面の掌返しにチクリと言い返す一節もあるがそこは重要ではなく、アーロン・ホールの名曲を引用した終盤の親密で濃密なR&Bヴァイブこそ本作の聴きどころだろう。オートチューン歌唱の彼ららしいメロウネスを展開しつつ、ベース・ミュージックと00年代カニエが合わさったような“NOKIA”やタイロン・デイヴィス使いの麗しいソウル“RAINNING IN HUSTON”などの変化球にハッとする全21曲。