先週リリースされたSPECIAL OTHERSの2枚目の歌ものコラボ集『SPECIAL OTHERS II』。先立ってミュージック・ビデオが公開された斉藤和義との“ザッチュノーザ”をはじめ、山田将司(THE BACK HORN)&菅原卓郎(9mm Parabellum Bullet)やGEN(04 Limited Sazabys)らを迎えた楽曲が収められているのだが、スペアザの音が独特すぎるからか、どのアーティストとのコラボも、曲が始まってから両者のイメージを耳と頭でブレンドさせるまでに時間がかかる……というのはシリーズ前作『SPECIAL OTHERS』(2011年)の時と同様だ。しかし自分のなかでそれが上手く馴染んで、2度3度とリピートしつつ冷静に曲を聴いてみると、〈おぉ、イイじゃないか!〉となる、なかなか他にないアルバムの聴き方をしてしまうのがおもしろい。そのなかでも、先日MVが公開されたRIP SLYMEとの“始まりはQ(9)CUE”は、特にスルメ的な味わいのナンバーだと思う。
『SPECIAL OTHERS』ではサイプレス上野とロベルト吉野を迎えていたので、スペアザの音にラップが乗るというのは初ではなく、ルーツ(THE ROOTS)みたいな感じにもならないのは証明済み。その時はサ上のラップ・スタイルもあってか、起伏のあるエモーショナルな楽曲になっていたが、今回は縁側風味のユルいトラックでRIP SLYME勢がマイクを回しつつ、中盤ではRIPらしい跳ねるようなポップさを活かした展開に突入していく感じがなんだかクセになるのだ。
個人的には浜野謙太を招いた“かませ犬”も好きで、在日ファンクでお馴染みなハマケンのあのヴォーカルと、ファンクでもアフロビートでもないけど〈そんな雰囲気〉のある演奏が、もしジェイムズ・ブラウンがアフリカ70を無理やり自分色に染めようとしたら……の答えの一つになるかもと想像してしまった次第。
なお『SPECIAL OTHERS II』の初回限定盤には、デビュー10周年にちなんで〈特典〉とするには豪華すぎる2枚組の初ベスト盤『SPECIAL OTHERS BEST』が付属! ライヴではお馴染みのナンバーが全19曲収められており、初期名曲“BEN”“Uncle John”は再録ヴァージョンなので、購入はお早めに。さらに、3月11日(土)の横浜Bay Hall公演からスタートする全国ツアー〈SPECIAL OTHERS 10th Anniversary BEST盤TOUR QUTIMA Ver.22〉では、会場限定でスペアザの〈裏ベスト〉とも言うべき隠れた名(迷)曲を収めた『SPECIAL OTHERS WORST』がリリースされる。収録内容は〈全11曲〉という情報のみだが、むしろこっちのほうに興味がありすぎるので私は必ずゲットしたい!