現代を代表するカウンターテノールの新作はオルフェウス神話に基づくユニークなコンセプト・アルバム。モンテヴェルディ、ロッシ、サルトリオによる3つのオペラから数曲ずつ取り上げ、独自のアプローチで新たにもうひとつの「オルフェオ」を作り上げています。ジャルスキーはいつもながらの艶やかな美声と完璧なテクニックでオルフェオを情緒豊かに表現し、エウリディーチェにはエメーケ・バラートを迎え、そのソロパートも素晴らしく、また、調和の取れた2人のアンサンブルは端正な質感が見事です。ファソリスの指揮の下、透徹とした美しい響きにしばし俗世を忘れさせてくれる心地良さです。
フィリップ・ジャルスキー 『La Storia di Orfeo』 現代屈指のカウンターテナー、オルフェウス神話に基づくコンセプト作
Erato / ワーナー