世相を映し、歴史・文化を見つめ、人の心の襞に分け入るラテン・ワールドの多彩な魅力作が勢揃い!
すでに11月の全国ロードショーが決まっている超大作2本、ファン垂涎の音楽ドキュメンタリー作品をはじめ、多彩なラインナップが出揃った「ラテンビート映画祭」。必ずや、最新情報をチェックのこと!
移民政策の転換に怒りの声が上がる昨今、NYブルックリンを舞台に静かなメッセージを発する『7日目』は見逃せない。主人公は実直なメキシコ系移民。週6日レストランの宅配を担当し、唯一休みの日曜にアマチュアサッカー・チーム“プエブロ”で、同胞との結束を体感。次の日曜に大一番の試合を控えるが、雇い主は無体にも日曜勤務を命じる。故郷に残した妻と生まれる子のため、クビになるわけにいかない。でも、エース&キャプテンとして欠場できない。ジム・マッケイ監督のラストメッセージの重みが胸を打つ。
『Most Beautiful Island』もNYが舞台。不法移民美女(監督自ら主演)が高額報酬に釣られ、バイト仲間を介し謎のパーティーへ赴く、スリリングなサスペンス。心の内を投影するざらついた映像、不気味な展開に引き込まれる。台所に出没する例の虫が苦手な向きには、ちとお薦めできない(※反則の注意喚起)。
歴史大作ものでは、18世紀の南米未開地に派遣されたスペイン将校の孤立・焦燥感を壮大なロケと多国籍俳優陣で描く『サマ』が登場。製作総指揮はディエゴ・ルナ&ガエル・ガルシア・ベルナル。そのガエル最新主演作が、11月全国公開『ネルーダ 大いなる愛の逃亡者』だ。パブロ・ラライン監督2012年作『NO』でも異彩を放ったコンビが、追われる者と追う者を演じる。チリの共産党非合法化に伴い上院議員を失職したノーベル文学賞詩人パブロ・ネルーダ、1948年の“詩的”逃走劇は、南部アラウコ先住民の雪原まで執拗に続く。切迫シーンの連続に加え、怪優ルイス・ニェッコ対ガエルほか、台詞回しの巧さが際立つ快作。
同じくチリを舞台に、石油関連南米首脳会議に初めて臨むアルゼンチン大統領の苦悩を描く『サミット』。水面下での諸国の駆け引きと、娘のトラウマ問題に揺れる大統領を、名優リカルド・ダリンが好演。
音楽ものは、2015年末シカゴで開幕したオペラ『ベル・カント』のオリジナル映像版。偏見と闘い、酒に溺れるも晩年開花した、歌手チャベーラ・バルガスのドキュメント『チャベーラ』が貴重な証言を含め圧巻。ウルグアイ=日本の“東方人”、ウーゴ・ファトルーソ&ヤヒロトモヒロの音楽交流を追った『ドス・オリエンタレス』も本邦初上映だ。11月末全国公開『J:ビヨンド・フラメンコ』は、重鎮カルロス・サウラ監督の故郷、アラゴン発祥の民俗舞曲ホタを紹介する豪華絢爛ショーケース。実は本作の前に『ファド』、アルゼンチン北西部フォルクローレ『ZONDA』を発表するも、いずれも日本未公開(フラメンコじゃなきゃ、ダメなんすか~?笑)……来秋、ぜひ!
第14回ラテンビート映画祭
映画『7日目』監督:ジム・マッケイ/出演:フェルナンド・カルドナ
映画『サマ』監督:ルクレシア・マルテル/出演:ダニエル・ヒメネス・カチョ
映画『サッドヒルを掘り返せ』監督:ギジェルモ・デ・オリベイラ/出演:セルジオ・レオーネ/エンニオ・モリコーネ、クリント・イーストウッド
映画『サミット』監督:サンティアゴ・ミトレ/出演:リカルド・ダリン
映画『チャベーラ』監督:キャサリン・ガンド、ダレシャ・キイ/出演:チャベーラ・バルガス
映画『ホーリー・キャンプ!』監督:ハビエル・カルボ、ハビエル・アンブロッシ/出演:マカレナ・ガルシア
映画『ベル・カント』監督:ケヴィン・ニューベリー/出演:ダニエル・ドゥ・ニース
映画『J:ビヨンド・フラメンコ』監督:カルロス・サウラ/出演:サラ・バラス
映画『Most Beautiful Island』監督・出演:アナ・アセンシオ/出演:ナターシャ・ロマノヴァ
映画『ネルーダ 大いなる愛の逃亡者』監督:パブロ・ラライン/出演:ルイス・ニェッコ
映画『ドス・オリエンタレス』監督:ソフィア・コルドバ、ソフィア・カサノバ/出演:ウーゴ・ファトルーソ、ヤヒロトモヒロ(八尋知洋)
映画『スキン~あなたに触らせて~』監督:エドゥアルド・カサノバ/出演:カンデラ・ペニャ
映画『カルメン故郷に帰る』監督:木下惠介/出演:高峰秀子、小林とし子、笠智衆
◎10/13(金)~15(日) 新宿バルト9、10/21(土)22(日)~梅田ブルク7、11/2(木)~5(日)横浜ブルク13にてロードショー!
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