2017年7月25日にデビュー10周年を迎えたBREAKERZが10月18日に10周年を記念したスペシャルアルバム『X』(クロス)をリリースする。今年1月から4月に開催された「BREAKERZ 10周年 10番勝負 -VS-」の各公演にて披露された新曲で構成された【スペシャルコラボレーション盤】、ファンのリクエスト投票により構成された【リクエストベスト盤】というバラエティに富んだCD2枚組で構成される今作について、3人に話を聞いた。

 

――様々なジャンルのアーティストと共演したライブ【10番勝負】を振り返ってみていかがでしたか?

SHINPEI(ギター)「ものすごいイベントだったなと思います。共演してくださったアーティストさんとお互いの楽曲を演奏しあうセッションがあったり、僕たちは共演したアーティストさんからインスピレーションを受けた新曲を披露するという試みがあったり、今までリスペクトしてきた方々への思いを曲をとして形に残すということができたので、このイベントをやれてよかったなと思いました」

DAIGO(ヴォーカル)「このイベント自体、出演してくださるアーティストがいてはじめて成立するものだったので、本当に豪華なアーティストの皆様が僕たちのイベントに出演して頂けるということがありがたかったですし、一瞬、一瞬が宝物のような時間を過ごすことができたなと思います」

AKIHIDE(ギター)「最初にDAIGO君から10周年の〈10〉にかけて10組のアーティストと対バンしようという案が上がって、すごくワクワクしたのを覚えています。実際、どのステージも素晴らしかったですし、この共演をきっかけに、今後自分たちがどういうものを武器として、突き進んで行ったらいいのだろうというバンドとしての成長課題を見つけることが出来たし、素敵な出会いがたくさんあった素晴らしいイベントでしたね」

――メジャー・デビューしてからの10年間は、BREAKERZの皆さんにとってどのような時間でしたか?

SHINPEI「たくさんCDをリリースしたりライブをやってきたことも思い出なんですけど、一つ挙げるとしたらやはりバンド人生で“日本武道館でライブをやる”という、バンドマンが抱く夢のなかでも頂点にあるような夢をBREAKERZで達成できたというのはすごくうれしかったですね。あとは、10年間現在進行形で活動できていることが何より嬉しいですね」

DAIGO「10年間一つのバンドをやったことがなかったので、純粋に10年やれていることが嬉しいですね。ここまで続けてこれたのは、支えてくれたファンの皆さんのおかげだと心から思いますし、もっとこのバンドで10年、20年、30年と活動していく楽しみが増えましたね」

AKIHIDE「振り返ると感謝しかないですね。ファン、スタッフ、関係者、メンバーの皆がいたから10年歩み続けることが出来たなと思いますし、その先の10年、20年をどうやって築くのかが楽しみでもあり課題でもあるのかなと思います」

――『X』(クロス)と名付けられた今作は、そのタイトルが示す通り錚々たる豪華アーティスト、そしてファンと〈クロス〉して生まれた濃密なアルバムですがこのコンセプトにしようと思った経緯を教えてください。

SHINPEI「【10番勝負】の時に共演したアーティストさんにインスピレーションを受けて新曲を作っていたんですが、この時点ではこの楽曲たちをアルバムにしようという考えはなかったんです。でも、出来上がってみると、どの楽曲もバラエティに富んでいてシングルとしてリリースしてもおかしくないくらい熱がこもっていたので作品としてリリースしようという話が上がりました。さらに10周年ということなのでスペシャル感を出したいという意見があり、ファンの皆さんからのリクエストを募ってダイレクトに反映したらスペシャル感が出るんではないかということでリクエスト盤が生まれましたね」

――『X』(クロス)というタイトルに込められた思いを教えていただけますか?

DAIGO「アルバムタイトルは最後の最後で決まりました。10という数字が今回、僕たちにとって重要なものだと感じていて、10ってローマ数字で表すとⅩと書くんですが、10番勝負で共演したアーティストとのクロス、ファンとのクロス、そしてBREAKERZ10周年、さらに今作が通算10枚目のアルバム、のⅩ(テン)と読み方は違えど、一つの文字でいろんな意味を持っているなと感じたのでタイトルを『X(クロス)』に決めました」

――アルバムのスタートを飾る“GREAT AMBITIOUS”は前向きな歌詞が印象的なとても爽やかなナンバーですね。

DAIGO「アルバムの1曲目は聴いてくれている人が温かい気持ちになる曲がいいなと思っていました。なので、BREAKERZらしいロックを基調としつつも、全体的にメロディアスな雰囲気の曲に仕上げました。歌詞もバンドをはじめた時の初期衝動みたいなものを込めました」

――この楽曲ではGLAYのJIROさんがベースで、ドラムにはGLAYのサポートも務めているToshi Nagaiさんが参加されていますが一緒にレコーディングしてみていかがでしたか?

AKIHIDE「JIROさんとToshiさんの音が乗ったことで、曲にグッと広がりが増しましたね。あと、DAIGO君はJIROさんとToshiさんが音録りしている隣のブースで一緒に歌録りをしていましたね」

DAIGO「僕が歌っているブースからJIROさんの背中が見えたんですよ。この曲の歌詞に〈憧れをいつでも追いかけて〉ってフレーズがあるんですけど、本当に歌詞通りのシチュエーションになったし、僕にとっても特別なレコーディングになりましたね。あとスペルは違いますが敬意をこめてタイトルにもGLAYさんの名前をかけています」

――皆さんからみてJIROさんはどんな印象ですか?

DAIGO「JIROさんは音楽に対する姿勢が本当にまっすぐで、学ぶべきところがたくさんありましたね」

SHINPEI「普段、レコーディングに参加していただくミュージシャンには僕らが簡単に作ったデモ音源を渡してレコーディングに臨んでいただくんですけど、JIROさんは音源を渡してから数日後に〈こんなプレイでどうでしょうか〉って、プリプロ作業をしたデモ音源を送ってくださったんです。キャリア20年以上もある大ベテランの方が、僕たちの楽曲1曲のためにこんなにエネルギーを注いでくれるということが、とても嬉しかったしカッコいいなと思いました」

AKIHIDE「2コーラス目に入る前にすごくカッコいいベースフレーズを入れて頂いて、本当はそこもギターのパートがあったんですけど、実際のレコーディングの時には入れるのをやめました(笑)。やめよう! ここはJIROさんのベースだけでいこう!!ってなりましたね」

――今回レコーディングに参加して頂いたアーティスト「こうしてほしい」などのリクエストはされましたか?

AKIHIDE「リクエストというよりも、その場その場でディスカッションしていくことが多かったですね。皆さんそれぞれカラーをお持ちなので、そこに僕らが寄り添いつつ乗っかっていくような感じでしたね」

――GRANRODEOのギタリストe-ZUKAさんが参加されている“RODEO DRIVE”はライブ映え抜群のナンバーですね。

DAIGO「この曲はトリプルギターというのが一番のポイントですね。e-ZUKAさんの早弾きも凄かったでしょ?」

SHINPEI「いや~凄かったですね! 僕はマネできません(笑)。僕ら普段はツインギターなのでツインでのパターンを考えることはあるんですけど、トリプルギターでのギターソロというのも初めてだったので、とても楽しかったですし、e-ZUKAさんが参加してくださったからこそ出来た曲だなと思います」

――“BLACK SKY”は間奏部分にラップが入っていたり、サウンド的にも楽曲の雰囲気も今までにない新しいBREAKERZという印象を受けました。

DAIGO「実はこの曲、最初はラップのパートなかったんですよ」

――え! そうだったんですか!?

DAIGO「でも【10番勝負】でSKY-HIさんと共演することが決まって、作曲してくれたAKIHIDEさんにラップを入れたいと相談して作ってもらいました。最初は自分でラップの部分をやっていたんだけど、でもやっぱり僕がやるとちょっと古いというかね(笑)」

――(笑)。

DAIGO「メンバー内ではしっくりきてたんだけど(笑)」

AKIHIDE「同じ時代を生きてきたからね(笑)」

DAIGO「そうそう。でもやっぱり古いなって。僕も自分のなかのラップの表現の仕方に限界があるし。そんな時、SKY-HIさんがレコーディング参加してくれることになって、彼のラップが入ることで曲の世界観がよりソリッドになってカッコよくなりましたね」

AKIHIDE「そうだね。しかも、最初に提示していたリリックではないものを現場で入れてくれて」

DAIGO「ラッパーとしての長年のスキルを感じましたし、さすがSKY-HI!って感じでカッコよかったよね」

SHINPEI「SKY-HIさんが歌い終わった後、DAIGOさんがコントロールルームで〈お疲れ様〉って声を掛けてたんですけど、ラッパーっぽくなってましたね(笑)。〈お疲れイエ~イ〉みたいな感じで」

DAIGO「やっぱり影響受けちゃうよね」

――次にゴールデンボンバーの鬼龍院翔さんが参加されている“ゴールデンナイト~黄金色に抱きしめて~”についてお話を聞かせてください。

DAIGO「この曲はもうゴールデンボンバーと対バンするために作った曲ですね。AKIHIDEさんがこういう曲を作るっていうのも中々レアというか、AKIHIDEさんが自分の限界をぶっ壊した瞬間ですよね」

AKIHIDE「ゴールデンボンバーさんとやるっていうチャンスがないと生まれなかった曲ですね。この曲を作ったのが4月の後半で、みんながそれぞれ曲を作りまくっていたんですね。それぞれがパンパンになっていて、歌詞が書けないかもしれないって楽屋で話していた矢先に言葉が湧いてきて完成して。大サビのデュエット部分も〈こんな感じが良くないですか?〉って提案されて一気に完成しましたね。マジックが起きた曲です」

DAIGO「この曲のデュエット部分はライブでも鬼龍院翔くんが参加してくれて。予定にはなかったハモリのパートまでやってくれたね。だからもうこれは、まさにゴールデンボンバー公認の公式ソングだね」

――相手への想いが強すぎるあまり、尽くしすぎてしまって都合のいい女になってしまっている女性が主人公として出てきますが、BREAKERZの女性目線の恋愛ソングは(“FAKE LOVE”や“SECRET GIRL”など)二番手の女性が多い気がします。

DAIGO「あ~どうなんだろう。曲調もあってそのなかのイメージで歌詞を書いていくからね。この曲に関しては自分の前に10人いるから11番目の女性の歌(笑)。過去最高の順位の恋愛ソングになってますね。やっぱり〈女々しさ〉を出したいっていうのもあるのかもしれないです」

――超特急とのコラボレーション曲“恋のスーパーエクスプレス”は片思いした女の子に振り向いてもらおうと奮闘するキャッチーなナンバーに仕上がっていますね。

DAIGO「これはもう、超特急さんと対バンするからってことで意識して書いた曲ですね。タイトルも超特急感満載で。ライブでやった時もかなり盛り上がりましたね。レコーディングも超特急のメンバーが全員参加してくれて元気いっぱいで現場がフレッシュでしたね」

――レコーディングも良い雰囲気のなか進んだんですね。

DAIGO「バックボーカルの二人も歌が上手いので、彼らの声が立つように、ミックス作業の時にサビ部分では自分の声の音量を下げてもらうようにしました。間奏後の掛け合いも1号車(=※バックボーカル担当のコーイチさん)から順番に歌ってもらったので、彼らとのコラボならではの楽曲に仕上がりましたね」

――間奏部分はライブでも今後お客さんとの掛け合いができて楽しそうですね。

DAIGO「そうですね。あとサビの〈超特急〉っていうコーラスのところは、本家の超特急さんのキメポーズを振り付けとして取り入れてライブで展開して皆で楽しめたらいいなと思っています(笑)」

SHINPEI「お! もうそんな計画があるんですね」

――Trignalと共演した“Triangle”は自分の恋心で葛藤する姿を描いた可愛らしいスローナンバーですね。

DAIGO「僕の姉(影木栄貴)が原作で僕が声優をした〈LOVE STAGE!!〉での共演がきっかけで仲良くなったTrignalと共演できることになって、向こうも3人組だし僕らも3人組だから〈3づくしでいこう〉って思いました。最初は全然違うアレンジだったんですけど3拍子で三角関係の歌を歌おうと。そしてタイトルもTrignalと響きが似ている“Triangle”にしました」

――間奏部分も他の楽曲とは少し違う雰囲気に仕上がっていますね。

DAIGO「Trignalさんにも参加してほしいなと思って間奏部分にああいう遊びをいれる形でコラボレーションしてみました」

AKIHIDE「世界観がガラッと変わるので面白いですよね。BREAKERZにとっても、新しい挑戦になりました」

――ライブで演奏されるときはメンバー皆さんで再現されるのでしょうか?

DAIGO「そこはSHINPEIが1人で3役やります」

SHINPEI「あんな可愛い声出せるかな…。もしやることになったら温かい目で観てやってください(笑)」

――MY FIRST STORYのベーシストNobさんとドラマーのKid'zさんが参加した“NEVER ENDING STORY”は、 夢に向かって突き進んでいく思いや決意が込められた力強いアッパーチューンになっています。

SHINPEI「MY FIRST STORYさんはご自身の47都道府県ツアーを終えられて、そこで蓄えてきたパワー満タンの状態で【10番勝負】に参加して頂いたんですけど、その生き様を見せつけられたというかものすごい刺激を受けましたね。なのでこの曲もエネルギーと疾走感溢れる曲にしたいなと思って作りました」

―― “She Is Devil”はゴシックロックをベースにした楽曲に仕上がっていますね。何か具体的にイメージしたものはありますか?

AKIHIDE「これはSIDさんと対バンしたときに披露した曲なんですが、同世代のバンドなので僕たちのストレートなロックな感じを含んだ楽曲にしたいなと思って制作しました。ちなみに、タイトルの頭の文字だけ読むと〈SID〉になっています」

――倉木麻衣さんと共演した“ひらり舞い散る花のように”は、郷愁を覚える綺麗な旋律が印象的で日本ならではの情緒感を感じる楽曲ですね。

DAIGO「この曲は、僕らと長い付き合いのアレンジャーさんにアレンジをお願いしていた曲です。最初に上がってきたアレンジですごくいい感じに仕上がっていたのですが、倉木さんと対バンすることになって、倉木さんのお名前を入れたいと思いました。倉木麻衣さんの〈麻衣〉を〈舞〉という一文字に置き換えて、タイトルを考えていった中で曲の世界観も出来上がっていきました。僕自身も歌っていて情景が浮かぶというか、曲と歌詞の世界観もすごくマッチしているなと思っていたんですが、そこに倉木さんが僕たちの想定していなかった部分にもコーラスを入れてくれて、曲に深みが出ましたね。個人的には倉木さんだけバージョンも聴いてみたいです」

――今作で、唯一の女性アーティストとの共演ですがレコーディングの時に気をつけた事、意識したことはありますか?

SHINPEI「実際にお会いするまで、本当に実在しているんだろうか?と思うくらい、僕のなかで幻想的でミステリアスな存在だったので、今回ご一緒させて頂いた時には倉木さんの良さを最大限、惹き出せるようにプレイすることを心がけました」

AKIHIDE「この曲は独特なコードワークがあったので再現する難しさを感じましたね。また、コーラスアレンジを倉木さん自ら担当して頂くなど、このアルバムのなかで一番変化した曲だったので驚きの連続でした」

――アルバムの最後を飾る“GOD”はVAMPSのサポートメンバーでおなじみのJu-kenさんと ARIMATSUさんが参加されていますね。

DAIGO「この曲はもう神を崇める曲ですね。僕らにとってVAMPSさんは神の存在ですから神々しさをイメージして歌詞も思いきり振り切って作りました」

――アルバムを製作する際に、1番こだわったところはありますか?

DAIGO「プロット(曲順)はこだわりましたね。憧れのGLAYさんから始まって、神(=VAMPS)で終わるって流れにしたいなと思っていたので、聴いてくれている人も楽しめると思います」