5か月ぶりとなるニュー・シングルは、冨田恵一とのタッグによる麗しきラヴソング“奇蹟”。まだまだ未知のポテンシャルを秘めた彼女が、またひとつベールを脱いでいく!
数々のカヴァー曲を歌ってきたYouTubeでのパフォーマンス、そして、その反響がきっかけとなったメジャー・デビュー後も、容姿や年齢などは明らかにせず、つまりは〈歌声〉だけでリスナーとコミットしてきたシンガー、Uru。先立っての9月10日に仙台で開催された4か所5度目のコンサートも大盛況。歩みはゆったりではありながら、着実に、そして深く、受け取った人たちの心にその歌が届いていることは確かである。
「少しずつ、初めて公演する場所が増えてきているなかで、毎度のことながら緊張はするのですが、今回は、緊張から戻ってくる時間がいつもよりも早かったように思います。緊張せずにできたかといえばそういうことでもないのですが、いい緊張感のなかでできた気がします。その場所の雰囲気や景色をライヴ前に見たり感じたりするのもすごく大事だなと思いましたし、歌っているときにはいろんなことを考えすぎずに、いつも歌っているときのようにその世界にまず自分が入り込むべきだなと、改めて感じました」。
そうやってステージを踏むごとに大きな手応えを掴み、アーティストとしてのスケールを徐々に広げていく――そんな彼女から、5枚目となるニュー・シングル“奇蹟”が届けられた。曲はデビュー前から温められていたものだそうだが、詞は10月から始まったTVドラマ「コウノドリ」の主題歌として書き下ろされたもの(産婦人科を舞台としたドラマ本編は、愛や命がテーマとなっている)。
「〈コウノドリ〉の主題歌ということで、親子間のことを先に考えたのですが、あまり的を絞り過ぎないよう、親子間に限らず、恋人や家族、友人にも当てはまるような歌詞にできたらなと思いました。実体験ももちろん入っていますが、友人に、〈○○する時ってどんな気持ち?〉というようなざっくりとした質問とか、〈写真を撮りたくなる心理〉なども訊いたりして、少しずつ書いていきました」。
愛する者を大切に思いやり、慈しむ気持ち――親子間に限らない普遍的な愛のかたちを綴った言葉を包み込むやさしいメロディー、そしてその色合いにさらなる豊かさを添えているのは、ピアノとストリングスを絡めた冨田恵一による流麗なアレンジ。
「MISIAさんの“Everything”が好きなので、編曲を冨田さんにお願いすると決まったときは、息が止まりそうでした(笑)。アレンジが上がってきたときは、すごくオシャレだなと……ベースや弦のラインも素敵で、デモの段階とはまた違った新しい顔に生まれ変わった印象でしたね」。
カップリングではmiwa“あなたがここにいて抱きしめることができるなら”をカヴァー。「コウノドリ」の前シリーズで主題歌となっていた曲だが、すでにデビュー前からYouTubeでカヴァーしていた……という奇蹟!?
「あのときの私は、まさかこのドラマの主題歌を自分が担当させてもらえるとは思っていなかったので、本当に、なんというか……不思議です。包み込んでくれるような優しい歌詞とmiwaさんの歌声が大好きで、聴いていると〈ここは笑顔で歌われているんだろうな〉と表情が窺える部分があったりして、すごく心が和やかになります」。
「コウノドリ」繋がりということで、〈命〉というテーマで通じている今回のシングル。アーティストが新しい命を生み出す、すなわち新しい曲を生み出すにあたって、技術面を磨き上げていくことと共に大切なのは、日々のインプット作業。最近の彼女がどんなことで心を動かされたりしたのか、ちょっと訊いてみたくなった。
「子どもの頃の通知表の写真を送ってもらって見たのですが、意外と、ちゃんとがんばっていたなぁとヘンな感心を抱きました(笑)。音楽の成績が良かったのが、なんか妙に、その瞬間少しだけ自信が湧いたというか……。昔から、やっぱり音楽が好きだったんだなと思いましたね。意外と思われるかも知れないですが、体育も音楽と同じくらい成績が良かったです(笑)。あと、日常的なことでは、いままでの自分の行動パターンと違うことをあえてしてみたりすると新しい発見があったりします。いつもの道を変えてみるとか、よく行くカフェのいつも座る位置を変えてみるとか、こんな場所からこんな角度で見たことなかったなぁという部屋の一角で歯磨きをするとか、ほんの些細なことなんですが……(笑)」。
と、笑いながら話してくれたが、そういったごくごく日常的なサムシングが、彼女の歌から滲み出る人懐っこさ、寄り添うようなやさしさの原点なんだろうと思う……。
新曲“追憶のふたり”が新年1月13日より公開の映画「悪と仮面のルール」の主題歌になることが決定し、12月20日にはファースト・アルバム『モノクローム』がリリースされることも発表された。“奇蹟”のMVでは、いままでベールに包まれた部分の多かった彼女の姿や歌う表情もこれまで以上に観られたり、アルバムに向けてUruの全貌がいよいよ……!といった感じだ。
「アルバムについては、ずっと前から待ってくださっている方がたくさんいらっしゃるのをブログのコメントなどでも肌で感じていたので、やっとお届けできるなぁと思っています。デビューからたくさんいろいろなことをやらせてもらって、それをぎゅっと閉じ込めた一枚ではあるので、すごくたっぷりな内容になっています。“追憶のふたり”も、ものすごくカッコイイ曲になったと思うので、ぜひ聴いていただきたいですし、あとは、ライヴでこの曲いっしょに歌えたらなぁ……なんていう元気な曲も作ったので、楽しみにしていてほしいなと思います」
関連盤を紹介。
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ここではUruがこれまでに発表してきたシングルを紹介していきましょう。2013年に自身のYouTubeチャンネルを立ち上げ、歌唱、演奏、アレンジ、プログラミング、撮影、 編集などすべて自身で手掛けながら、新旧問わず数々の名曲をカヴァー。総再生回数4400万回越、100本ほどに及んだ動画の反響を経て、2016年6月にリリースされたのが、メジャー・デビュー・シングルとなった美しいバラード・ナンバー“星の中の君”(ソニー)。続いて10月にリリースされたセカンド・シングル“The last rain”(同)はUru自身が作詞/作曲、蔦谷好位置がアレンジを手掛けた楽曲。川村結花が書き下ろした“ホントは、ね”や“Sunny day hometown”といったカップリング曲はTV-CMにも起用されました。2017年2月にリリースされたサード・シングル“フリージア”(同)は、「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」の第2期エンディング・テーマとなった曲で、その歌詞は同作品のみならず過去のガンダム・シリーズも観たうえでじっくりと書き上げたというもの。カップリング“娘より”はTVドラマ「しあわせの記憶」の主題歌に。6月には4枚目のシングル“しあわせの詩”(同)をリリース。表題曲は、「コウノドリ」と同じく綾野剛が主演を務めたTVドラマ「フランケンシュタインの恋」の挿入歌で、カップリング“5years”では、fox capture planとのコラボレーションを果たしています。 *bounce編集部