すでに話題のドラマティックな名曲“それを愛と呼ぶなら”がいよいよシングルでリリース。感慨深いステージの先へとまた進み出した彼女が改めて前向きに表現する大切な思いとは?
そっと、ぐっと背中を押していく
ゆったりとしたペースなようでいて、しっかりと、強烈に聴き手の心にその歌を焼き付けてきたUru。ざっとここ一年を振り返ってみても、デビュー5周年を迎え、初のコンサート・ツアーがあり、シングルのリリースがあり、これまででいちばん大きな会場でのコンサートがあり……と、充実した活動のなかで、彼女自身もその手応えを感じているところだろう。
「そうですね、(これまででいちばん大きな会場となった)東京国際フォーラムでのライヴは、デビュー前からの目標のステージでしたし、とても感慨深いステージでした。応援してくださる皆さん、スタッフの皆さん、ここまで支えてきてくださったすべての方に感謝の想いを届けるステージでもあって、何も見えなくて悶々としていたあの頃の自分に教えてあげたくなりました」。
そんな感慨深いステージから季節をひとつ越したところで、彼女は新しい歌――昨夏の“Love Song”以来となるニュー・シングル“それを愛と呼ぶなら”を届けてくれた。表題曲は、4月から放送されているTBS系日曜劇場「マイファミリー」の主題歌になっているが、〈時代の寵児ともてはやされるゲーム会社の社長が小学生の娘を誘拐され、妻と力を合わせて誘拐犯と戦っていく〉という、彼女がこれまで主題歌を歌ってきたドラマとはテーマや趣きが少々異なるもの。この曲を編むうえでのポイントは、どんなところだったのだろう?
「ドラマチームの方々から、〈前向きになれる曲〉〈背中を押す曲〉〈広域の愛の歌〉というリクエストがあったので、そういったことを曲調にも歌詞にも反映できるよう意識しました。サビまでは3つのコードのループにして、過去を回想したり後悔を滲ませたりして、サビで前に進みだし、Dメロで走り出す、みたいな流れを作って、いきなりドンと背中を押すのではなく、そっと、ぐっと、押していくような曲になればいいなと思いながら作っていきました」。
これまで数々のドラマ主題歌を歌い、ドラマが伝えたいメッセージをしっかりと内包しながらも、ドラマを切り離しても愛されてきたUruの歌。それだけに、毎回違ったテーマを求められるということは、彼女の表現力を見越してのことなんだろうと思える。とはいえ、難しさを感じながら作っている部分はもちろんあるはずで、“それを愛と呼ぶなら”においては、どんなところに苦心し、どんなところにこだわったのだろうか。
「サビまでの歌詞ですかね……。実は、最初はまったく違う歌詞が入っていたんです。もっと、ネガティヴで後悔がたくさん滲み出ているような。でも、そのネガティヴの分量だと、サビですべてを跳ね返すことができない、陰の要素が強くなってしまうと、〈前向き〉な印象が薄れてしまうのではないかと、ドラマチームの皆さんやスタッフさんとも相談して、ゼロから歌詞を作り直しました。そこに、相手への感謝や伝えきれなかった素直な気持ちを入れることで、やっと統一した色の曲になれた気がしました」。
自分自身の経験と重なる部分があるとすれば?
「反抗期の自分ですかね(笑)。実は、〈一人で歩いて来た顔をして〉というのは、私が母と喧嘩して棘のある言葉を吐いてしまった時に母から言われた言葉でもあります。言われた当初は腹が立ちましたが(笑)、大人になると、本当そうだよなあ……と思うことばかりです(笑)」。