コラム

ニック・ロウがBillboard Liveに登場! イギリスの伝説的SSWの来日公演、その観どころをご紹介

ニック・ロウがBillboard Liveに登場! イギリスの伝説的SSWの来日公演、その観どころをご紹介

60年代後半から活動するイギリスの伝説的シンガー・ソングライター、ニック・ロウがBillboard Liveにて来日公演を行う。待望の新作『Tokyo Bay』のリリースも控えるニック。本稿では彼のキャリアを簡単に振り返りつつ、ライヴの観どころを紹介したい。

ニック・ロウといえば、パブ・ロックの先駆として知られているだろう。70年代当時、イギリスの主流だったのはプログレッシヴ・ロックやグラム・ロックだ。複雑な楽曲構造や高度な技巧、あるいは華美な演出を交えたそれらのジャンルと対照的なサウンドで興隆したのが、パブ・ロックと呼ばれる音楽だった。バック・トゥ・ベーシックで泥臭く、シンプルなルーツ・ロックを志向したパブ・ロック。パンクの嚆矢になったとも言われている同ジャンルの中心地は、76年にデイヴ・ロビンソンとジェイク・リヴィエラがロンドンで設立したインディペンデント・レーベル、スティッフ・レコーズだ。ニック・ロウはソロ・ミュージシャンとして活動する一方、スティッフのハウス・プロデューサーも担当していた。

ニック・ロウの2015年のライヴ映像。演奏曲はエルヴィス・コステロの“Alison”。ニックが手掛けた77年作『My Aim Is True』に収録されている
 

ご存知の方も多いかもしれないが、プロデューサーとしてのニック・ロウはロック史に数々のクラシックを残している。例えば、パンク・ムーヴメントを代表するバンド、ダムドのデビュー作『Damned Damned Damned』(77年)やエルヴィス・コステロの初期傑作群『My Aim Is True』(77年)、『This Year's Model』(78年)、『Armed Forces』(79年)、『Get Happy!!』(80年)などなど。ほかにもプリテンダーズやドクター・フィールグッドなど、パンク~ニューウェイヴ時代の重要なバンドを数多く手掛けているニック。〈バッシャー(狂暴な人)〉と呼ばれた、荒々しい即席のプロデュース・スタイルはそういったサウンドと相性が良かったのだろう。ちなみに、スティッフのカタログは先日ユニバーサル・ミュージックが取り扱いをはじめ、Spotifyなどのストリーミング・サーヴィスが始まったばかり(まさにニック・ロウの来日に合わせてきたかのようなグッド・タイミング!)。

閑話休題。つい話題が〈プロデューサー=ニック・ロウ〉のことばかりになってしまったが、もちろん〈シンガー・ソングライター=ニック・ロウ〉の顔も紹介しなければなるまい(というか、そっちが本稿の主題だ)。ソロ・アーティストとしてのニックの代表曲といえば78年の“I Love The Sound Of Breaking Glass”、そしてなんといっても〈恋するふたり〉の邦題で知られる79年の“Cruel To Be Kind”だろう。ちなみに、前者はEGO-WRAPPIN'が、後者は元キリンジの堀込泰行がカヴァーしている。シンガー・ソングライター=ニック・ロウが現在もここ日本で(特に職人的な音楽家から)愛されていることがよくわかるエピソードだろう。

ちなみに、Setlist.fmを見る限りは“I Love The Sound Of Breaking Glass”と“Cruel To Be Kind”の2曲はいまも定番曲として披露されているようだ。ライヴではニックが手掛けたエルヴィス・コステロのクラシック“Alison”や、ニックの先輩にして盟友のデイヴ・エドモンズに提供したことで知られる“I Knew The Bride(When She Used To Rock 'N' Roll)”をよく演奏しているようで、パフォーマーとしてのニックが実にサーヴィス精神旺盛であることがうかがえる。今回の来日でも先の代表曲やこれらのカヴァーが聴けることは期待していいだろう。

ニック・ロウの2012年のスタジオ・ライヴ映像。演奏曲は“Cruel To Be Kind”
 
ニック・ロウの2015年のライヴ映像。演奏曲は“I Knew The Bride(When She Used to Rock 'N' Roll)”
 

ソロとしての活動前にあたる69年結成のバンド、ブリンズリー・シュウォーツや、前述のデイヴ・エドモンズとのロックパイルなども含めて、約半世紀にわたって音楽活動をしているニック・ロウ。もちろん、後世への影響も大きい。先のEGO-WRAPPIN'や堀込泰行もそうだが、アメリカのヨ・ラ・テンゴはニックとの共演をしているし、ウィルコはカヴァー(2011年作『The Whole Love』のデラックス・エディションに収録の“I Love My Label”)やジョイント・ツアーまで行っている。また、アイルランドの新鋭ロックンロール・バンド、ストライプスは2013年のデビュー・アルバム『Snapshot』で“Heart Of The City”をカヴァーしている。ニックの書いた曲は時代を超えて愛されているのだ。

ストライプスは2015年のスタジオ・ライヴ映像。演奏曲はニック・ロウの初期の代表曲として知られる“So It Goes”(76年)
 

ニック・ロウの創作への情熱はいまも冷めていない。今年5月には4曲入りのEP『Tokyo Bay』(邦題:トキオ・ベイ)をリリースする(6月リリースのアナログ盤は7インチ2枚組!)。〈東京湾〉と題された表題曲はすでにライヴでは披露されている楽曲。今回の来日ではEPに収録された最新曲も聴けるはずだ。ニックのライヴは弾き語りが基本スタイルのようで、今回の来日公演もアコースティック・セットになるだろう。そんなニック・ロウの歌と演奏を親密な空間、Billboard Liveでぜひ楽しみたい。

ニック・ロウの2018年作『Tokyo Bay』収録曲“Tokyo Bay”。近年のボブ・ディランの作品にも通じる軽快なロックンロールだ
 

 


Live Information
ニック・ロウ

4月30日(月・祝) Billboard Live TOKYO
1stステージ:開場 15:30/開演 16:30
2ndステージ:開場 18:30/開演 19:30
サービスエリア 9,400円/カジュアルエリア 8,400円

5月1日(火) Billboard Live TOKYO
1stステージ:開場 17:30/開演 19:00
2ndステージ:開場 20:45/開演 21:30
サービスエリア 9,400円/カジュアルエリア 8,400円
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5月4日(金・祝) Billboard Live OSAKA
1stステージ:開場 15:30/開演 16:30
2ndステージ:開場 18:30/開演 19:30
サービスエリア 9,500円/カジュアルエリア 8,500円
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