自問自答を繰り返し、みずからの感性を信じることで、よりヴァリエーション豊かな折衷ポップを手にした新作。絶えず前進し続ける4人の現在のグルーヴはこれだ!

 ネオ・ソウルやファンクを下地としたボーダレスなバンド・グルーヴを打ち出して話題を集める4人組、RAMMELLS。昨年12月には『Authentic』でメジャー・デビューを果たした彼らが、早くもミニ・アルバム『take the sensor』を完成させた。

RAMMELLS take the sensor CROWN STONES(2018)

 結成からわずか2年でメジャーへ。メンバーは口々に「活動の環境自体は以前と変わらない」と話すが、本作には前作以降の自問自答がはっきりと反映されている。

 「(メジャー・デビュー以降は)いろんな人からアドヴァイスをもらうようになったんですけど、以前だったら聞き流してたところもあったんですよ。でも、〈そういう考えもあるかも〉と思うことも増えて。そのぶん自分の考えが変わりそうになることもあったんですけど、最終的に自分を守るのは自分。もしもRAMMELLSが売れなかったとしてもそれは僕らのせいだと思うし、そう思ってやらないと、うまくいってもいかなくても後悔する。そう思うようになりました」(真田徹、ギター)。

 「いつもコンセプトを決めずにアルバムを作ってるんですけど、今回は一曲ごとのメッセージが不思議と似通った部分があって。それが〈自分の感覚を信じろ。自分の感性を持て〉という意味合いを込めた『take the sensor』というアルバム・タイトルに繋がっているのかもしれない。自分にもそう言い聞かせてるし、みんながそうであるといいんじゃないかなと思うところもあって」(黒田秋子、ヴォーカル)。

 本作のキーになるのが冒頭曲“Sensor”。「今回は“Sensor”をリード曲にしようと4人のなかでなんとなく決まってたんですよ。なので、この曲を軸にして〈他にどの曲を入れようか?〉と話し合いながら決めていった」(黒田)というが、真田の歪んだギターと黒田の伸びやかな歌声がRAMMELLSならではの融合を見せるこの曲は、まさに音楽/歌詞の両面で現在の彼らの姿が表現されたものだ。作曲を手掛けた村山努(ベース)はこう話す。

 「この曲はギターのリフから作ったんですけど、ギターでロックな感じを出しつつ、後ろのベースやドラムでグルーヴを出せないかと。ハード・ロックが好きなんで、途中はギターとベースのユニゾンも入れたり。自分の好きなものをRAMMELLSの世界に融合できればと考えていました」(村山)。

 曲調の幅広さは前作以上。アウトロで鳴り響くシューゲイザー風のギターが印象的な“YOU”、「リズムの面ではちょっとAORっぽいニュアンスも意識しました」(彦坂玄、ドラムス)という“Night Out”、「インディー時代からライヴでやってる曲で、今よりもネオ・ソウル寄りだった時期のRAMMELLSの雰囲気が出てる」(真田)という“blah blah”。また、チャーミングでカラフルなRAMMELLS流のディスコ“FINE”では、強烈にドライヴするリズム隊がバンドならではのグルーヴを生み出している。

 「ブラック・ミュージックに限らず、ロックでもノれるものが好きなんですよ。グルーヴのないロックはやりたくない。今回はグルーヴのシンプルな曲が多いかもしれないですね」(村山)。

 そして、ラストを飾る“愛のパラリア”では、黒田の個人的な心の揺れが切ない情景を描き出している。

 「〈おばあちゃんになっても歌っていたい曲ができたな〉という感覚はありますね。とある方が亡くなったときに出来た曲で……人が亡くなったときや生まれたとき、または出会ったときに心がキュッとすることって誰でもあると思うんですけど、その気持ちを歌にしました」(黒田)。

 前作リリース後には各地でライヴ・パフォーマンスを披露。3月には東京・渋谷WWWでバンド初となるワンマン・ライヴを行うなど、活動のフィールドも徐々に拡大しつつある。だが、彼らのめざすものはその先にある。

 「WWWのワンマンはあれだけのお客さんが来てくれたのが嬉しかったけど、初めてあのキャパでやったので、慣れない部分もあって。反省点もありましたね」(村山)。

 「達成感よりも、〈ここからようやくスタートするんだ〉という感覚のほうが強かったかもしれない」(彦坂)。

 「そうそう。〈まだまだできることはあるな〉という感じ。いろんなことを試してみたくなりましたね」(黒田)。

 立ち止まることなく進み続けるRAMMELLS。現在の彼らの姿が詰まった本作『take the sensor』で4人の勢いを感じてほしい。