新たな扉が開かれたことを告げるファンキー&キャッチーなダンス・ミュージックーースタイリッシュさはそのままに、より心地良く開かれたグルーヴがここにある!
ロック、ネオ・ソウル、ファンクなどを下地にした生々しくて高品質なバンド・グルーヴ、そして、クールな佇まいと濃密な感情表現が共存するヴォーカルによって、確実に支持を高めつつあるRAMMELLS。バンドのベーシックな音楽性を明確に示したメジャー・デビュー作『Authentic』、〈自分の感性を信じろ〉というメッセージを込めたミニ・アルバム『take the sensor』に続く新作『Mirrors』は、70年代以降のダンス・ミュージックを独創性と大衆性を併せ持つポップ・ミュージックへ昇華した作品になった。
「アルバムに向けたミーティングのなかで、〈今回はもっと大衆に向けよう〉という話が出て来てきたんですよね」(黒田秋子、ヴォーカル)。
「〈大衆的〉という言葉が意味するところの多くは、自分たちの場合、〈踊れるかどうか〉だと思っていて。話し合いのなかで、アース・ウィンド&ファイアの名前も出てきたんですよ。踊りやすくてキャッチーと言えば、アースかなって。RAMMELLSは4人編成のバンドなので、アースほどハッピーな感じにはならないんですけど、それがいいところかなと」(真田徹、ギター)。
現在の日本の音楽シーンのなかで、幅広いリスナーが踊れる曲とはどういうものか? ――そんなテーマの元で制作されたのが、4曲目の“Gone with the wind”。軽快な4つ打ちビートを軸にした、しなやかなファンクネスを感じさせるサウンドは、RAMMELLS流ダンス・チューンの最新ヴァージョンと言えるだろう。
「BPMは130くらい。〈これくらいがノリやすいんじゃない?〉と話しながらテンポを決めたんですけど、そういう作り方も初めてでしたね」(黒田)。
「普通に作るとBPM100くらいの曲ばっかりになるので(笑)。この曲みたいなサウンドももちろん抵抗はなくて、ファンクっぽいギターだったり、もともと好きなテイストが入ってますね」(真田)。
リード・トラックの“真っ赤な太陽”は、情熱的にしてキャッチーなメロディーが真っ直ぐに届く、アルバムのなかでも際立ってポップな手触りのナンバー。「ライヴで一緒に歌えるような曲にしたかった」(黒田)という発言通り、フロアでの一体感も期待できる仕上がりだ。
「美空ひばりさんの“真赤な太陽”を自分の家で聴いてて、楽しくなって踊りまくったことがあって(笑)。〈これもダンス・ミュージックだな〉と思って、“真赤な太陽”をキーワードに曲を作ってみたいなと。歌詞のテーマは……ニュースを見てると、人の死に関わるような、悲しくなるようなことが多くて。みんな孤独なんだなと感じることも多い。それぞれの事情はわからないけど、〈それでも太陽を見ながら一緒に踊りたい。それだけじゃダメなの?〉という歌ですね、これは。この曲もそうなんですが、今回のアルバムはメンバーに意見を訊きながら書いた歌詞もいくつかあって。客観的な意見が入ることで、わかりやすいものになったと思います」(黒田)。
さらに、シンプルかつエッジーなギター・リフが中心の“Dizzy Dizzy Dizzy”、「自分がやりたいこと、作りたいものをかき集めたらこの曲のデモが出来ました」(黒田)という“chiki-chiki odoru”など、メンバーの個性が前面に出た楽曲もインパクト十分だ。
「“Gone with the wind”は、実はベースラインから作ったんですけど、ギターのリフも欲しいなと思って。キャッチーなリフが好きなんですよね。“Dead men & woman walking”“Surrealism”もそうですけど、シンプルなリフをデカい音で弾くのが好きで」(真田)。
「“chiki-chiki odoru”は、眠る直前の、意識があるような夢の中にいるような感じをひたすら歌ってます。そういう日常的なことを歌にしたかったんですよね。歌詞には、自分自身から出てくるものしか書けないので」(黒田)。
アルバムのタイトル『Mirrors』には、〈ダンス・ミュージックから連想する煌びやかなミラーボールのイメージ〉に加え、〈いまの自分たちを反映しているもの〉 〈10曲を通して、いろんな面が感じられるもの〉という3つの意味が込められているという。気持ち良く踊れるサウンドと、メンバー自身のリアルな思いをダイレクトに込めた歌がポップに重なり合う本作は、幅広い層のリスナーにアピールすると同時に、RAMMELLSの音楽性と精神性をより深く伝えることになるはずだ。
RAMMELLSの作品。