ソウル/R&Bを日本語のポップスへと消化した前アルバムでのアプローチに改めて腰を据えて取り組み、深化させた5作目。タイムレスなメロウネスをさまざまな形で紡ぐ一方で、現行のビート・ミュージックの骨格を旺盛に採り込んでおり、表題曲などの5曲でSTUTSが鮮やかなリズムを弾き出し、“Dead Leaf”では山下達郎によるひとり多重コーラスにネオ・ソウル経由の伸縮自在のグルーヴを重ねるという大胆な配合で聴き手を驚かせる。そうしたサウンド面の美しく野心的な成果がいちいち最高なのだが、何よりも星野源その人の歌に耳を奪われることがやはり本作の凄みかもしれない。ミクロ~マクロの広範な視点から愛を語る歌唱からは、スタイルを超えてソウルの根源に触れんとする意志が感じられる。