西アフリカの伝統音楽を継承する音楽家バセク・クヤテ。バンジョーの原形とも言われる弦楽器、ンゴーニを主役とする独自のアンサンブルで、伝統音楽の新しい可能性を提示した2007年の傑作『セグ・ブルー』に近いコンセプトで制作された本作。原点回帰を目指した、マリの伝統楽器を中心としたアレンジ。どこか哀愁を感じさせるメロディと、繊細で独特なンゴーニの音色は、不思議と我々日本人の耳にも違和感なく響く。ポール・マッカートニーやデーモン・アルバーンといった大物との共演、フジロックへの参加など、様々な活動からの経験が、彼の音楽の根っこの部分をより強固なものにした。
西アフリカ音楽をアグレッシヴに発展させて世界的な名声を得たマリのンゴーニ奏者、バセク・クヤーテによる新作はルーツに立ち戻った内容。ハープにも似たンゴーニたちの激しくも神々しい音色が聖堂内で乱反射するかのように響き渡り、祈りのような合唱も相まって胸に深く沁みる。人気歌手のアビブ・コワテやギターの名手アフェル・ボクームなど多彩なゲストと共に、迫力のあるマリ伝統音楽を披露している。