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VaVaの過去仕事に見るアナザー・ワールド

 もともとVaVaがDJ/ビートメイカーとして表舞台に登場したのはTHE OTOGIBANASHI'S(OTG'S)を擁するCreativeDrugStoreの一員として。2012年にはOTG'Sが注目されるきっかけになった最初のMV“Pool”のエンディングや“Closet”のMVオープニングにインストを提供していた。翌2013年に登場したOTG'Sの初作『TOY BOX』ではイントロ/アウトロなどを担当。同年のうちにBIMとのミックスCD『SUMMER SELECTED by bim & VaVa』を経て、VaVaとして初のビート・アルバム『Blue Popcorn』を限定リリースしている。当初はラウンジーで心地良いBGM的なインストを作るイメージも強かったが、OTG'Sの2作目『BUSINESS CLASS』(2015年)で6曲のプロデュースを担ったあたりから、ラップ・トラックでも手腕を発揮。一曲中で場面転換していく“Department”が特に好評を得た。

 そんななか2016年に2作目『Jonathan』を発表したVaVaは、BIMの“オレンジシャーベット”(2016年)、in-dの“TiFF”(2017年)といったOTG'Sメンバーのソロ曲を間に挿み、突如SUMMITからの初作『low mind boi』をリリース。全編で初めてラップも披露した内省的な作風で野心的に新境地を拓いてみせている。同作に前後しては平井堅“魔法って言っていいかな?”で公式リミックスを担当、バラード調の原曲を浮遊感のあるビートで柔らかく仕立て直した。リミックス仕事ではサニーデイ・サービスの話題作で“Tokyo Sick”を手掛けていたのも忘れちゃいけない。

 そして自作の進行も多忙だった2018年は外仕事も。名曲“Bonita”を含むBIMの『The Beam』を筆頭に、ERAにはメロウな“Drop”とdooooのスクラッチも交えた“Meditate pt.2”を提供。すぐ彼とわかる哀愁のホーン使いが印象的なKID FRESINO仕事も光っていた。今後は『VVORLD』を起点にした新たな広がりにも期待したい。