OMSBとVaVaの新作を含め、SUMMITの名作たちが一気にアナログ化!
10周年を迎えた昨年を大きな節目としつつ、継続的に独自の動きを見せるヒップホップ・レーベル、SUMMIT。『ODDTAXI』サントラの話題やオールスターでの〈フジロック〉出演も賑やかだった昨年に続き、今年もつい先日のC.O.S.A.の最新EP『Reason』に至るまでChaos On ParadeやPUNPEE × BIMらの個性的な作品が続いていますが、やはりハイライトとなったのはOMSBの『ALONE』、VaVaの『VVARP』というそれぞれのアルバムでしょう。両名は6~7月にリリースを記念したツーマンツアー〈BOYS II MEN〉で全国を訪れ、各々のワンマンが成功を収めたのも記憶に新しいところ。で、両作品は10月にCD化されたのに続き、今度は〈レコードの日2022〉に合わせてヴァイナル化も実現しました。しかも彼らの過去作やPUNPEEのソロ作などSUMMITの誇るクラシック群も併せて一気にアナログ盤で登場する事態に……ということで、今回はOMSBとVaVaに登場いただきました。
自分のままでいいんだ
――そもそもの初対面はどんな感じだったんですか?
VaVa「もともとめちゃくちゃファンで。BIMと知り合ったぐらいの頃からSIMI LABが好きっていう話をしてました。それで渋谷でSIMI LABのライヴを最前列で観た時があるんですけど、オムスくんがお酒を持ってラップしてて、そのお酒が俺にかかったんですよ。それが俺的には聖水みたいでめっちゃ嬉しくて(笑)ツイートもして。そしたらオムスくんが〈ごめんね〉ってリプ返してくれて、優しい人だなって。その後でTHE OTOGIBANASHI’SがSUMMITに入って、UNITの楽屋とかでオムスくんに〈あのとき酒かけられた者です〉〈マジで?〉みたいな、それが最初の出会いです」
OMSB「OTG周りは変な奴が多いから何かある気はしてたんですけど、最初の頃のVaVaちゃんはわりと裏に回ってる印象でしたね。その印象が変わったのは、三宅唱さんの映画『THE COCKPIT』(2014年)の撮影でOTGのヤサに行ってレコーディングした時に、2日ぐらいくだらない話をずっとしてたら、何かの拍子にヤバい言葉を連発してて。黙々とレコーディングとかやってくれてたのに、やっぱりコイツもおかしかった!って気付いてブチ上がった記憶があります(笑)」
VaVa「男5人ぐらいで生活してたんで、謎のスラングが飛び交ってて」
OMSB「それからVaVaちゃんのスラングを楽しみによく話しかけるようになって」
VaVa「ファンなんでめちゃくちゃ緊張してました。まさか数年後に自分がラッパーとしてSUMMITにいるとは微塵も思ってないので」
――その後VaVaさんも初のラップ作品『low mind boi』(2017年)を出して、EP『Universe』(2018年)収録の“New Page”にはOMSBさんを招いていますね。
VaVa「『Universe』は全曲で客演があるんですけど、ラッパーになりたての自分にとって憧れの人たちを招いたんですよ。やっぱりオムスくんはめちゃくちゃファンなんで一緒にやりたくて」
――交流が深まったきっかけは?
VaVa「ゲームがデカいもしれないですね。コロナになって周りが『Apex Legends』をやるようになって、自分も狂ったようにやってて。会ってはいないけどボイスチャット通してオンラインで仲良くなるみたいな」
OMSB「ゲームを始めてから、久しぶりにSUMMITの配信ライヴでHARLEMで会ったら、オフ会ぐらいな感じで逆に気まずかった(笑)」
VaVa「あなたがOMSBさん?みたいな(笑)」
――本人を前にしてアレですが、ラッパーとしてのOMSBさんのどこに惹かれましたか。
VaVa「言葉選びのユニークさも感じたし、自分のスタイルのままでいいんだって思わせてくれた人ですね。等身大な感じは歌詞でも伝わってたんですけど、普段とステージ上があんまり変わらないというか。僕はもともとゲットー育ちでもないし成り上がりでもないのがコンプレックスに思えたりして、『low mind boi』は自分の中でかっこつけたんですよ。でもライヴやってても正直おもしろくなくて。そういう頃にオムスくんのライヴを観て、〈自分のままでいいかもな〉って思えたのがデカいかもしれない」
――特に好きな曲はありますか?
VaVa「“HULK”がめっちゃ好きかも。当時はオムスくんもピリピリしてたじゃないですか。僕もピリピリしていろいろ経てラップを始めてるので、“HULK”の〈俺はこっちでいくから〉みたいな気合ドーン!な感じが憧れというか、MVも強そうで衝撃だったし。でも全作品キレがあっていいですね。どのアルバムもかます気持ちは同じだけどベクトルが全部違うから好きっすね」
OMSB「〈これは俺のヒップホップだ〉っていうのがファーストで、セカンドは〈俺の好きなヒップホップ聴いてみて〉みたいな感じかな。そういう意味でいちばん開いたのは『ALONE』だけど」
――逆にOMSBさんはそうやって接してる中でVaVaさんがラップも始めて作品を出していく姿をどう見てましたか?
OMSB「最初のOTGはチーム過ぎるくらいチーム感があったから、それぞれにのびのびやりたいところがあったんだなと思って見てました。とはいえVaVaちゃんがラップやるとは思ってなかったんで、いきなりアルバム出るって聞いたときはびっくりしたし、〈ラップやって挫折したっす〉とか言ってたけど全然できるじゃんって。かっこいいなと思って聴いてます。勝手に見てた人が上がっていくのは嬉しいし」