SEKAI NO OWARIが、対になる2作のアルバム『Eye』と『Lip』を同時リリース。これを記念して、タワーレコードではフリーマガジン〈TOWER PLUS+〉の臨時増刊号 〈別冊TOWER PLUS+〉を発行! ここでは中面に掲載されたインタヴューを特別掲載いたします。別冊TOWER PLUS+は、タワーレコード全店にて2月27日(水)開店時より配布中!
※タワーレコードオンラインは除きます。※別冊TOWER PLUS+は無くなり次第終了となります。※天候や交通事情により入荷が遅れる場合がございます。

SEKAI NO OWARI EYE Toy's Factory(2019)

SEKAI NO OWARI LIP Toy's Factory(2019)

2019年2月、前作『Tree』から4年ぶりとなるニュー・アルバム『Eye』『Lip』をリリースしたSEKAI NO OWARI。この4年間、映画やドラマの主題歌、動物殺処分ゼロプロジェクト〈ブレーメン〉支援シングル、2018年平昌オリンピックおよびパラリンピックのテーマソングのシングルをリリースし、NHK紅白歌合戦には5回連続出場、毎回趣向を変えて行われたライヴ・ツアーなど、その活躍は目覚ましかった。しかし、アルバムの構想は2018年になるまで一切考えなかったという。

Nakajin「『Tree』を出したあとはずっと、海外でリリースするためのアルバム『Chameleon』(End of the World名義でのファースト・アルバム)の制作に向かっていたんです。まずは『Chameleon』を出してから、次のアルバムのことを考えようと思っていたんですけど、思ったよりも時間がかかってしまったんですよね」

Fukase「毎日のように制作していたのに、気がついたら4年経ってたんだよね(笑)」

DJ LOVE「だから〈今回のアルバムは4年ぶりですね〉って言われると、〈ええっ、そんなに経ってたの?〉って思います(笑)」

試行錯誤し続け、ようやく『Chameleon』の完成が見えてきた2018年の頭、Fukaseからの提案で2枚組アルバムのコンセプトが決定。『Eye』『Lip』というタイトルもFukaseの発案だった。

Fukase「この4年間で心の中に生まれたこと、考えたことがたくさんあったので、それを音楽にするには〈2枚で表現しないとな〉と思ったんです。〈目は口ほどに物を言う〉と言いますけど、目が語るものと口が語るものは違うと思っていて。でも、自分のことを語るためには両方必要なので、『Eye』『Lip』というコンセプトからスタートしよう、と」

Saori「裏と表、黒と白、みたいに、物事にはいろんな側面があると思うんですけど、Fukaseくんから〈表裏一体というイメージのアルバム〉と聞いて、この4年間で人前に見せてきた部分の裏側を見せられたらおもしろいなあと思いましたね」

お茶の間の多くの人たちに愛された讃美歌のように清らかなシングル曲“RAIN”“サザンカ”とは180度違う(そしてSEKAI NO OWARIの魅力のひとつでもある)ダークで攻撃的な曲も、野外ツアー〈INSOMNIA TRAIN〉で披露された“Re:set”“ラフレシア”をはじめ、多数収録されている。

Nakajin「“Re:set”や“ラフレシア”は、もともと“RAIN”や“サザンカ”を出したことの反動で出てきたようなところがあるんですよ」

Fukase「右に打つと、左に反動が生まれてくるからね」

Nakajin「ここ数年TVで見せているイメージを持っている人がアルバムを聴いて〈セカオワってこういう曲もやるんだ〉って思ってもらえたらいいよね」

Saori「そうだね」

Nakajin「今回は曲数も多いし、『Eye』『Lip』の世界観を広げたいという気持ちが根底としてあったので、自分がボーカルをとった2曲(“ドッペルゲンガー”“Goodbye”)でも、過去のどの曲に似ていなくて、かつ自分が好きな曲を作ることを意識しました」

その結果、ファンタジックな世界観を構築した前アルバム『Tree』から一転、SEKAI NO OWARIらしさを貫きながらも、アートな色合いと、人間そのものが浮き彫りになるような曲が色濃く印象に残るアルバムとなっている。

Fukase「より人間的であり、〈人〉のことを歌ってるアルバムだと思いますね。これまでのように物語に乗せずに、言いたいことをちゃんと相手に届けようとしている曲が多いと思います」

Nakajin「音自体も、『Tree』ではファンタジックな世界観を表現するために楽器じゃないものを楽器として使いましたが、今回使用しているのはスタンダードな王道のもの。時代を超えてなお愛されるものを使っているんです」

Saori「Fukaseくんのヴォーカルも、少年のような歌い方にするのはやめようって話になって。ライヴを通して新しいFukaseくんの声の魅力があることも知っていたので、〈大人の男の人の歌声〉を意識してヴォーカルを録りました」

メンバー全員が納得のいくまでアルバムに向き合い、新たな傑作が誕生した。音楽シーンに消費されずに自分たちの軸を持ち続けることができるのは、こんな理由もあるという。

Fukase「最近すごく思うんですけど、僕たちはスタッフに恵まれているんですよね。すごく愛されて、大切にされている。今回のアルバムが完成するまで、事務所の人たちもレーベルの人たちもすごく大変だったと思うけど、僕たちが本当にとことん妥協せずにやりきるところまで文句も言わずにやってくれた。たとえば、レーベルの都合で〈この日でレコーディングはおしまいです〉って期限を決められたら、〈もっと時間があれば、もっといい作品ができたのに〉って人のせいにできるけど、自由に作品を作ることができる環境を作ってくれてるから、自分たちも〈これがベストです〉というところまで走り切らないといけない。だから、作品における責任も、自分たちで全部持たなければいけないんです」

Nakajin「そうだね」

Fukase「だからこそ背筋が伸びるし、〈手を抜いたら、スジ通んないっしょ〉みたいなところはありますよね(笑)」

DJ LOVE「急に……(笑)」

Saori「下町のヤンキーがでてきた(笑)。でも、メンバーもスタッフも全員全力だし、本気で走っているよね」

4月からは全国ツアーが始まり、End of the World名義の『Chameleon』でいよいよ世界進出を果たすSEKAI NO OWARI。これから先、一体どんな景色を見せてくれるのだろうか。2019年もますます目が離せそうにない。