シティ・ポップとも共鳴するアーバン・メロウ&ブリージンな2010年代ならではの選曲による、阿川泰子のニュー・パースペクティヴ
――なるほど。やっぱり90年代だとこうはならなかったかな、というのはありますね。2010年代ならではの感覚というか。
「90年代に作っていたら、Mondo Grossoによる“Skindo-Le-Le”のリミックスとかもありましたし、もう少しクラブ・ミュージック寄りになっていたかもしれませんね。そんな中で個人的には“L.A. Night”は特別な曲で。ライト・オブ・ザ・ワールドの“London Town”をすぐに連想するし、80年代UKソウル〜ジャズ・ファンクのリヴァイヴァルや、ロイ・エアーズに代表されるイギリス人が好きなアーバン・メロウな感じがあって、僕もDJプレイしていました。あと個人的に、タイトル的にも曲調的にもこの曲から思い浮かべるのは、何と言ってもレオン・ウェアの〈Free Soul〉人気曲“Why I Came To California”ですね。
――邦題〈カリフォルニアの恋人たち〉ですね、〈たまらなく、アーベイン〉な(笑)。
「そういう意味でも“L.A. Night”は、『Free Soul Yasuko Agawa』の核になっている曲ですね。今回、ビクターから7インチ・レコードも出したいという話をいただいていて、変化球なセレクトを考えてもよかったんですけど、結局“L.A. Night”と“Skindo-Le-Le”は外せないという結論に落ち着きました(笑)」
――7インチのリリースも楽しみですね。“L.A. Night”との連関性だと、“In The Name Of Love”もアーバン・メロウ度数が高い曲です。
「グローヴァー・ワシントン・ジュニア&ビル・ウィザースの“Just The Two Of Us”を書いた3人の曲ですね。曲調も似ていて、こちらはラルフ・マクドナルド&ビル・ウィザースのカヴァー」
――〈カリフォルニアの恋人たち〉から〈クリスタルの恋人たち〉へ(笑)。アーバンな洗練とブラック・ミュージック的な艶やかなフィーリングが印象的です。