コラム
『Free Soul The Treasure Of Tabu』―70~90年代を跨いで生き長らえたタブーの多彩な魅力をコンパイル
【IN THE SHADOW OF SOUL:ソウル・ミュージックの光と影(連載)】[番外編]フリー・ソウルからの... Part.3
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- 2014.09.17

ジャム&ルイスによるアーバンなミネアポリス・ファンクがレーベルのシグニチャー・サウンドのように思われがちではあるけれども、70~90年代を跨いで生き長らえただけあってタブーのスタイルはここで挙げた他のレーベル以上に幅広いものだったりします。それだけにこのフリー・ソウル盤でも曲選の年代はある程度レンジが制限されている感じもありますが、シャロン・リドリーの“Changin'”が瑞々しくオープニングを飾るツカミだけで、もうフリー・ソウルの世界へ否応なく突入でしょう。すすり泣くようなストリングスの響きも相まってまるでエンディング・テーマのような雰囲気ではありますが、そこからガラリと表情を変える展開の妙も楽しい。ジェネラル・ケイン“For Lovers Only”やウッズ・エンパイア“Universal Love”などの外せない逸曲を栞のように使いながら、SOS・バンドとジャム&ルイスの蜜月から生まれたヒット・シングル群をたっぷり聴かせ、アレクサンダー・オニールの粋な振る舞いも要所をマニッシュに彩っています。他にもタブーはいろんな音があるだけにアーバンに揺らぐ洒脱な躍動はSOSの3作目で、ライトなAOR風味はデトロイトで……と、いろいろ掘ってみてほしいです。
▼関連作品
左から、SOS・バンドの82年作『S.O.S. III』、デトロイトの84年作『Detroyt』(共にTabu/Solid)
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