VARIOUS ARTISTS 『Free Soul The Treasure Of Hi』 Solid(2014)

 ハイといえば時代に応じてジャズ・コンボからディープ・ソウルまで多様なスタイルを提案してきたメンフィスの名門レーベルであります。看板アクトは、アル・グリーンをはじめ、ジャケにもあしらわれているアン・ピーブルズ、さらにはシル・ジョンソン、OV・ライト、オーティス・クレイ……それだけに、サザンなイメージとフリー・ソウルなるテーマが結び付かないリスナーもいるかもしれませんが、シングル・オンリーの楽曲が半分以上を占めることもあって、超ヘヴィー級のリスナーならいざ知らず、多くの人にとっては知られざるハイの一側面、また一側面に触れるきっかけとなるに違いありません。冒頭のフィリップ・ミッチェル“Little Things”(72年)に代表されるメロウなニュー・ソウル楽曲が充実しているのは流石。グルーヴィーなノーザン調で解釈できるナンバーが多いのも楽しいですし、看板アクトの楽曲もコマーシャルなヒットから少し視点をずらした感じが新鮮。これはいい。逆に、このフリー・ソウルが初ハイだという人には、ド定番のアルバムにも手を伸ばして、そのビターなエレガンスをしっかり味わってみてほしいです。

 

▼関連作品

左から、オーティス・クレイの72年作『Trying To Live My Life Without You』、アン・ピーブルズの74年作『I Can’t Stand The Rain』(共にHi/Solid)
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