60年代モータウンの立役者であったホランド=ドジャー=ホランドがデトロイトで設立し、〈サウンド・オブ・ヤング・アメリカ〉を本家に代わって70年代にやり尽くしたホット・ワックス/インヴィクタス。兄弟レーベルのミュージック・マーチャント音源も加えてそんなレーベル・カラーを抽出した本作の選曲は、フリー・ソウル作品のなかでも屈指のポップネスと昂揚感を誇る。
本作のベースになったカタログ群では、ハニー・コーンの人気曲“Want Ads”を収録した『Soulful Tapestry』にはジャクソン5やシュープリームスさながらの煌めきが詰め込まれた一枚だし(リード・ヴォーカルのエドナ・ライトのソロ作も良い!)、後にカイリー・ミノーグがカヴァーした“Give Me Just A Little More Time”を含むチェアメン・オブ・ザ・ボード『The Chairmen Of The Board』はフォー・トップスばりのモータウン・スタイルが印象的だ。
そんな甘酸っぱさだけでなく、H=D=HのDことラモン・ドジャーが“Why Can't We Be Lovers”で聴かせる熱い男のソウルに心を震わせるのも一興だろう。
▼関連作品
左から、ハニー・コーンの71年作『Soulful Tapestry』(Hotwax/Solid)、チェアメン・オブ・ザ・ボードの70年作『The Chairmen Of The Board』(Invictus/Solid)
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