今期で指揮活動の引退を表明したハイティンクは今年90歳を迎えた。30代半ばから40代にかけて、1963年から72年にロイヤル・コンセルトヘボウ管と録音されたこの全集は今でこそ価値が高まったと言えるのではないだろうか。当時、0番を含む録音を行ったこと自体画期的であり、彼のブルックナー解釈の原点とも言えるこの録音を聴くにつけ、オケの音色の素晴らしさと、安定感のある解釈にあらためて感銘を受けた。CD時代では初のリマスターが施され、見通しが良いのも朗報。ブルーレイ・オーディオも付属し、同時発売のマーラーと共に今、聴くべき音源である。