ハイティンクが実演で繰り広げていたブルックナーの醍醐味を味わうために、第8番となれば必聴というべき93年ライヴ(拍手なし)。95年ウィーン・フィル盤の出現を用意したと首肯させる秀演だ(ディテールの相違もぜひご確認ください)。バイエルン放送響がまさに渾身の力演を見せており、ハイティンクの中庸を得た伸展・増幅的な造型が鋭く絶頂的に現出した破局表現での強力な金管群には息を呑む(第1楽章展開部、“死の告知”、終楽章コーダなど)。開巻の“テ・デウム”(2010年ライヴ)はこれが3種目、88年ウィーン・フィル盤と同様、バイエルン放送合唱団が格調高く、ライヴならではの白熱が加わって圧倒的。