ロシア出身の名指揮者フィストゥラーリ(1907-1995)は、7歳のときチャイコフスキーの 《悲愴》を暗譜指揮したという神童。1930年代にはシャリアピン・カンパニーやバレエ・リュス・ド・モンテカルロの指揮者として鳴らし、オペラとバレエの指揮で名声を博した。レコードにおける彼の代表作は英デッカに3度も録音した《白鳥の湖》で、とくに2度目にあたる当録音は、レコード史上屈指の名演・名録音として知られている。まず彼のエレガントにして シンフォニックな指揮の素晴らしさ! そしてコンセルトヘボウ管の色彩と迫力を持ち合わせた迫真の名演。これらを英デッカの技術陣が最高のサウンドで捉えているのである。