音楽ライターの南波一海がタワーレコード内に設立したアイドル専門レーベル、PENGUIN DISCの看板4人娘=RYUTistが、ニュー・シングル“センシティブサイン”をリリースした。表題曲は21歳のシンガー・ソングライター、シンリズムが作詞・作編曲を担当。さらに、カップリングの“素敵にあこがれて”はカメラ=万年筆/Orangeadeの佐藤望が作詞・作編曲、“バ・バ・バカンス!”はmicrostarとWack Wack Rhythm Bandが共作と、ポップ・ファン垂涎の3曲を収めたCDになっている。
Mikikiでは同シングルのリリースを記念し、プロ・インタヴュアーの吉田豪によるメンバー個別インタヴューを掲載中。ラストを飾るのは、むぅたんこと五十嵐夢羽。歌とダンスが大好きな幼少時代から、卒業したメンバーや大好きなアイドル、そしてRYUTistへの想いを明かしてくれた。 *Mikiki編集部
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審査員の方に〈そういうのはやめたほうがいいよ〉って言われて
――むぅたんがひとりでしゃべれるのか、皆さん心配してましたよ。
「フフフフ、だい……」
――……大丈夫ですかね?
「うーん……」
――不安になってきました(笑)。
「大丈夫です、よろしくお願いします!」
――では最初に、ご自分の性格をどういうふうに認識してますか?
「私は……うーん……優柔不断です。選ぶのが苦手で、いつもどうしようって迷ってることがあるなって思います」
――どんなお子さんでした?
「えっ……」
――まあ、ボクも小学生のときから会ってはいるんですけど、その前は?
「幼稚園の頃はずっと歌ったり踊ったりしてました。ビデオカメラに残ってる映像を観ると、ずっとマイクを持って歌ってたり」
――歌うのは昔から好きで。どんなご家族なんですか?
「お父さんとお母さんに妹がいるんですけど、すごい支えてもらってます。優しいです。妹とは3つしか離れてなくて話が共通するところもいっぱいあるので、ワイワイ楽しく。妹とはお風呂とかで一緒に歌ったりもしてます。熱唱してます」
――もともと歌うのが好きだったから、RYUTistに入ることになるんですね。
「そうですね。RYUTistは、毎年ゴールデンウィークにある〈信濃川感謝祭 やすらぎ堤川まつり〉さんっていうイヴェントにたまたま家族で遊びに行ったときにお父さんがオーディションのフライヤーを見つけて。それを持って帰ってよく読んで、歌とかダンスが好きなので受けてみようかなって思ったんです。オーディションの募集が10歳からで、私はそのときちょうど10歳だったので最年少で、周りはけっこう大人っぽい女性の方もいっぱいいらっしゃって、私だけ小っちゃいなって思ってました」
――そりゃそうですね(笑)。手応えはあったんですか?
「いや、全然なかったです。オーディションの審査員の方にも〈それはやめたほうがいいよ〉みたいなことを言われて」
――え?
「チアのポンポンを持って、〈レッツゴー! イェーイ!〉ってパフォーマンスをして出て行ったんですけど、〈そういうのやめたほうがいいよ〉って。これは全然ダメだな、やっちゃったなって思いました」
――そういうのは余計だ、と(笑)。
「フフフフ、〈それはいらないね〉って言われました」
――ところがなぜか引っかかった。
「受かってましたね。ビックリしました」
――それでRYUTistの最初のメンバーが揃って。
「はい、5人揃いました。オーディションで初めてみんなに会ったんですけど、のんの(佐藤乃々子)とかゆりり(木村優里、結成翌年の2012年に卒業)とは全然話してなかったんですよ。わっかー(大石若奈、2016年に卒業)とはちょっと話してて。なので、集まったときはみんな年上のお姉さんだなって感じで縮こまってたんですけど、怖い空気とかはまったくなくて温かい雰囲気でしたね」
――最初から平和な感じで。
「平和です」
憧れのアイドルさん楽しい!
――このグループでどんな活動をするって聞いてました?
「古町※を盛り上げるためにアイドル・グループを作るっていうのが(オーディションの)フライヤーにも書いてあったので、古町を中心に活動するっていうのは知ってました」
※新潟市中央区の新潟島中央部に位置するエリア
――ボクが初めて会ったのが結成の年なんですよね。2011年5月がオーディション、7月がファースト・ライヴで、その年の12月には新潟The PLANETで〈杉作J太郎&吉田豪の特濃トークライブ in 新潟 Vol.1〉が開催されて。
「すぐですね、ほぼ最初から。ありがとうございます」
――共演する前の時点でおかしなカヴァーをやってるグループがいる、みたいな認識があったんで、もう共演できるんだと思ったのを覚えてますよ。
「懐かしい……。ビックリするカヴァー曲いっぱいありました※」
――最近はオリジナル中心ですからね。だから単純に感慨深いんですよ。当時小学生だった女の子がもう高校を卒業?みたいなことも含めて。
「早いですよね」
――しみじみします。
「お父さんみたい(笑)」
――それぐらいの心境ですよ。活動を始めてみて〈あれ?〉みたいに思うことはありました?
「いや、特になかったです。〈憧れのアイドルさん楽しい!〉って気持ちにまっしぐらで、バーッとやってたんだと思います。〈あれ?〉って思うこともなく」
――よくわからないままレッスンやライヴを続けて。
「〈レッスンだ、イェーイ!〉って」
――〈知らない大人が東京から来た、イェーイ!〉みたいな(笑)。
「何事も楽しんでやってました。小学生だったので、なおさら」
――小学生が吉田豪と杉作J太郎と絡むのってたいへんだと思うんですよ、何を言ってるのかわかんないような大人と。
「すごいですよね。お客さんが笑ってても、〈え、なんでみなさん笑ってるんだろう?〉って。わからないことがいっぱいありました。でも、空気がすごい温かくておもしろくて、釣られて笑ってました(笑)」
――ボクらはすごい気を遣ってましたね、どこまで何を話していいんだろうって。〈RYUTistのメンバーが会場に来たぞ、下ネタ禁止!〉とか言ってましたからね。
「聞いてました(笑)」
――思えばゆりりの卒業も2012年11月だから、相当早い段階だったんですよね。
「そうですね、1年半ぐらいですね」
――当時、なんとなく聞いてはいたんですか?
「聞いてはいなかったです」
――話し合いとかもべつになく。
「なかったです。〈卒業します〉ってことで聞きました」
――その直後だと思うんですね。まだ卒業を発表する前、ボクらとイヴェントで共演して、杉作さんが食べもの占いをして当てちゃった事件。
「ドンピシャに当たってたので、知ってるのかなと思ったんですけど」
――ボクらは何も知らず、メンバーはうろたえてたことでお馴染みの。ゆりりが好きな食べ物を〈パイナップル〉って答えたとき、杉作さんが〈あなたは羽ばたこうとしてますね〉って答えたんですよね。
「すごいですよね。焦りました、どうしようと思って」
――ゆりりが何か言い出しちゃうんじゃないか、みたいな。もちろん知ってるわけもなく(笑)。
「すごいですよね、当たるんですね」
――ボクも当たるとは全然思ってなかったですからね。
「ファンのみなさんもビックリしてました」
――最初に辞めるって聞いたときどう思いました?
「早いなと思ったのと、何かあったのかなって」
――ただ、細かいことを聞くわけにもいかず?
「そうですね」
――向こうは大人だったし、こっちはまだ子供だしで。
「そう、子供だったので。〈え、行っちゃうの?〉みたいな感じでした」
――その後、これから4人で頑張ろうみたいな団結力が増したりはしました?
「卒業ライヴの次の週が〈全曲新曲ライヴ〉っていうけっこう大きいイヴェントだったので、それに向けて気合い入れ直して頑張ろうっていうふうにはなってましたね」
――まだ5人だった時期だと思いますけど、ボクに「情熱大陸」のカメラが密着してて、新潟にまでカメラが来たこともありましたね。
「ありました! 〈うわ、すごい!〉って」
――みなさんのテンションが上がって、映ると思ったら全部カットで(笑)。
「フフフフ、〈あれ?〉と思いました。J太郎さんの映画もありましたよね」
――まだ正式公開はされてないですけど、未完成なまま一部で公開はしていて。こっちはちゃんと出てますよ。ボクが新潟The PLANETで話している映像も使われてました。
「え、私たちも映ってたんですか?」
――出てましたけど、映画が何ヴァージョンもあってどんどん進化していってるし、前は使われていた場面がカットになったりもしてるので、どれが使われてるかよくわからないんですよ。
「観てみたいです、どこかで公開されたら」
――最初は原作どおりに撮ってたのが、途中で突然ドキュメンタリーみたいになっていくんですけど、そのきっかけがボクのセリフで。The PLANETの控室で何の台本もないまま撮影してて、〈あれ、これ原作どおりに撮ってるんじゃなかったんですか?〉ってボクが言ったのが契機になって、そこから映画の方向が変わるっていう。
「キーになってるんですね。観たいです」
――ちなみに演技には興味あったりするんですか?
「観るのは好きですけど、自分がやることは考えたことないですね」
――それより歌が好き。
「歌は好きです」
――演技は難しいですよ。
「難しいですよね、絶対。泣いてる演技とかされてる方はすごいなと思います」
――ボクも映画に10本以上出てるんですけど。
「俳優さんですね」
――俳優さんではないです!