1963年生まれの二人の博学の士が語り尽くした、平成時代の〈オレたちの音楽史〉である。平成に起こったクラシック界の話題をほぼ網羅した上で、冷戦終結、2度の震災、9.11などが音楽界に与えた影響に鋭く迫っている。小澤征爾を〈日本人のなんでもありみたいなところをラディカルに突き詰めた人〉と評し、ドゥダメル、クルレンツィスという音楽的辺境地からのスター指揮者誕生をオイル・マネーと結びつけ、佐村河内事件を踏まえて〈壮大なまがいものにこそ感動する〉ことが平成の特徴と喝破するなど、そのタブーを恐れない物言いは痛快無類。異論反論オブジェクション上等。悔しかったら自らの音楽史を語れ!