ストーンズ・スロウ傘下で自主レーベルのリーヴィングを走らせながら、己はブレインフィーダーにも名を連ねる彼は、いまのLAシーンにおける自由な往来ぶりを象徴する一人だろう。厚みのあるソウルフルな音像でメロディアスな手捌きを聴かせる本作は、まさにマシュー流ジャジー&メロウのよう。

 

才人が集うブレインフィーダーにあって、その壊れそうなエクスペリメンタル・サウンドの美しさで存在感を示すマシューデイヴィッド。このニュー・アルバムでは揺らめき度合いが増し、陶酔感をたっぷり漂わせた彼なりのサイケデリックソウルが披露されている。オリジナルの世界観が結実しているのと同時に、実生活での結婚や子供の誕生による影響からか、全体的に幸せなオーラで包まれている印象だ。自身の加工したヴォーカルを使って、艶かしくスロウにメリー・ジェーン・ガールズ“All Night Long”のフレーズを溶け込ませた“Perpetual Moods”がとりわけ特徴的。声もビートも含め、音全体がグニャ~と変容して溶解して、フワ~ッと拡散していく虹色感覚の気持ち良さ……中毒性高くて良いわ~。