2019年上半期を賑わせた衝撃のインディーズ映画。まずお話が凄い。岬の兄妹は二人暮らし。リストラされた足の不自由な兄は、生活に困って(悩みつつも)自閉症の妹に売春をさせるというお話。映画好きは、日活ロマンポルノの傑作「(秘)色情めす市場」みたいだなと思うかもしれませんが、描写のハードさはある意味こっちが上(よくR-15で収まった!)。こんな悲惨なお話なのに実は喜劇映画の趣き。人間の愚かさと、それでもどっこい生きている逞しさにただただ圧倒される89分。主演の松浦祐也と和田光沙の存在感に心震わせ、監督片山慎三の新人離れした鮮やか語り口に痺れていただきたい。