Buster Bros!!!
クロスメディア化が進む人気コンテンツ、怒涛の新展開!
2019年は〈ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-〉の年だった、と言っても過言ではないだろう。〈男性声優 × ラップ × キャラソン〉というコンセプトのもと、音楽作品を軸にコミックや舞台などを展開し、ゲームやアニメ化も決定。2018年に決着したユーザー投票制の対抗戦CDシリーズ〈Battle CD〉の熱狂を経て、今年2月には麻天狼による優勝記念作『The Champion』でZeebraが楽曲プロデュースを担当。4月にはプロジェクト全体としての初アルバム『Enter the Hypnosis Microphone』を届け、7月には所属レーベル主催のフェス〈EVIL A LIVE〉でサイプレス上野とロベルト吉野との次元を超えたコラボ曲が実現。さらに9月、大阪城ホールでのライヴにおいて〈オオサカ・ディビジョン〉のどついたれ本舗と〈ナゴヤ・ディビジョン〉のBad Ass Templeの新規参入が発表され、Creepy NutsやHIDADDYらが楽曲提供した前者、nobodyknows+からV系バンドのLeetspeak monstersまでが参画した後者と、各地域の音楽性を取り入れた入念かつ魂のこもった作品を発表し、普段キャラソン文化には馴染みのない層からの支持も得た。
Buster Bros!!! Buster Bros!!! -Before The 2nd D.R.B- EVIL LINE(2019)
そんな〈ヒプマイ〉が4か月連続で送る新CDシリーズが〈Before The 2nd D.R.B〉。その先陣を切ったのが〈イケブクロ・ディビジョン〉のBuster Bros!!!だ。本作にはメンバー3人それぞれのソロ曲を収録。まず長男・山田一郎(CV:木村昴)の“Break the wall”は、西寺郷太(NONA REEVES)が提供した80sブギー感溢れるディスコ・ファンクで、掌幻とユニットを結成するなどリアルでもラッパー活動を行う木村らしいタイトなオールド・スクール・ラップが楽しい一曲に。そして次男・山田二郎(CV:石谷春貴)がマイクを握る“School of IKB”は、自分がまだ何者でもないことを自覚しつつ〈トップ・ライマー〉への夢を強く誓う、JABBA DA FOOTBALL CLUB製のジワジワとエモい楽曲。前回のソロ曲“New star”と同じく三浦康嗣(□□□)が手掛けた三男・山田三郎(CV:天﨑滉平)の“レクイエム”は、ヴェルディの同名クラシック曲をサンプリングした衝撃のカットアップ・ブレイクビーツ。音のヤバさもさることながら、三郎の天才と狂気の狭間を行き交うようなキャラ性を表現した天﨑のラップが見事。これは声優にしかできない技かも。