2020.02.19

2010年代の京都インディー・シーンで中心的な役割を果たしてきた3ピースによる約4年ぶりのフル・アルバム。ローファイ寄りのキラキラした音像とパンキッシュな演奏に磨きをかけると共に、オルタナ感と大胆な展開がNOT WONKにも近い“You”のような骨太なナンバーもモノに。その一方、ネギが曲提供で参加しているバレーボウイズ同様に、変わることのないノスタルジックな雰囲気や〈青さ〉も彼らの大きな魅力だ。

 


京都を拠点に活動する3人組が、セカンド・アルバムを完成させた。現体制を固めた2010年代の中頃は、刹那な青春の風景を1~2分間のファスト・パンクに流し込むことを得意としていた彼らだが、やがてメロディアスな側面を強め、独自にサウンドを錬磨。2016年のファースト・アルバム『ハローとグッバイのマーチ』では、淡いサイケデリアと疾走感溢れるリズムで〈青春時代の終わる予感〉を描いていた。

約4年ぶりと短くない期間が空いたこの新作では、さまざまなミュージシャンとの出会いや実年齢的にも大人になっていったことを経て、一回りも二回りも成熟したバンドの姿が収められている。汗まみれのモッシュピットが頭に浮かぶパンキッシュなナンバーも健在だが、アコギが効果的に使われていたり、ハードコア的な展開を見せたりとアレンジは多彩に。加えて、フォーキーな歌心とエモ的な演奏を巧みに重ねた“雲ひとつない、”フロントマンの伊藤祐樹のオールディーズ趣味が色濃く出た“きっといつまでも”といった新機軸の楽曲群が、アルバムに鮮やかな色味を加えている。

なにより、ソングライティング面での成長が目を見張るほどで、収録された10曲すべてにおいて、珠玉のメロディーが心を鷲掴みにする。流麗にも軽快にも舵を切れるタッチは、アッシュのティム・ウィーラーを引き合いに出したくなるほど。近年、ここまで歌が存在感を示すギター・ロックは、あまりなかったのではないだろうか。

1曲目の“i cherish i”で〈「君と僕」には なれない僕らは/自分でいたいよ ポスターは剥がそう〉と歌われているように、この『タイムマシンダイアリー』は、彼らがほかの誰でもないTHE FULL TEENZになれたことを宣言し、みずから祝福したアルバムでもある。かつて〈ジョー・ストラマーのポスターは壁から剥がれ落ちてしまった〉と発した誰かみたいに、少し大人びた格好の3人が、冬の街を歩いていく姿が見えた気がした

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