加藤登紀子は、YMOブームの渦中の坂本龍一をプロデュースにむかえたアルバムを数枚発売しているが、本作品は戦前のキャバレー・ソングのカヴァー曲を中心としたアルバムの再発。選曲は、ブレヒト原作、クルト・ワイル作曲の『三文オペラ』から“バルバラソング”など全4曲、映画「愛の嵐」、「会議は踊る」、「HEIMAT」からそれぞれ1曲。また、北川フラム訳の“愛はすべてを赦す”、加藤登紀子訳による“今日は帰れない~パルチザンの唄~”など……多彩な内容だ。坂本龍一のピアノ、シンセサイザー、稲葉国光のベースというシンプルな構成によって戦前のヨーロッパを見事に描いた傑作。