コラム

ジャガ・ジャジスト(Jaga Jazzist)『Pyramid』ブレインフィーダー移籍作は、現代ジャズの文脈で再解釈される契機としても重要

Photo by Anthony P Huus LEAD

壮大なグルーヴを聴かせる新作は、現代ジャズの文脈で再解釈される契機としても重要

 ジャズを基軸にエレクトロニカやポストロック、ミニマル・ミュージック、プログレ等々さまざまな要素をまとめあげ、唯一無二のエクレクティック・サウンドを生み出してきたノルウェーの8人編成エクスペリメンタル・ジャズ集団ジャガ・ジャジストが、5年ぶり7枚目となるスタジオ・アルバム『Pyramid』を発表した。初のセルフ・プロデュースによる作品であり、長らく所属してきた英国のレーベル〈Ninja Tune〉を離れ、フライング・ロータスが主宰するLAビート・シーンの中心地〈Brainfeeder〉へと移籍することで新たなスタートを切ることとなった。

JAGA JAZZIST 『Pyramid』 Brainfeeder/BEAT(2020)

 突き抜けるようなサックスの響きから幕を開ける1曲目《Tomita》は、電子音楽界の巨匠・冨田勲に捧げた楽曲で、雄大なシンセ・サウンドが散りばめられるなか、徐々に聴き手をグルーヴの渦へと誘っていく。続く2曲目《Spiral Era》でアフロビートへと接近すると、3曲目《The Shrine》ではアフロビートの創始者フェラ・クティがナイジェリアで活動拠点としていたライヴ・スペース〈アフリカ・シュライン〉をタイトルに据え、キーボードと管楽器群がシンプル&キャッチーなテーマを奏でながら複数のビートがポリリズミックに絡み合っていく。ラストの《Apex》では一転してアルペジエーターを用いたシンセ・フレーズが無機質なドラミングと相俟ってテクノ的なサウンドを創出する。全4曲を通して次第に聴き手をリズムの快楽へと招き寄せ、複雑なビートの絡み合いで頂点に達すると最後にクールダウンさせるという流れが、遠大なスケールによって織り成された作品だと言えるだろう。

 ジャガ・ジャジストの結成は1994年。だが中心人物のラーシュ・ホーントヴェット(1980年生)は、サックス奏者のカマシ・ワシントン(1981年生)やピアニストのロバート・グラスパー(1978年生)ら現代ジャズの担い手たちと同世代でもある。そのことを踏まえると、〈Brainfeeder〉からリリースされた本盤は、かつて 「フューチャー・ジャズ」として国内に紹介されてきた彼らが、現代ジャズの文脈で再解釈される契機となる作品でもあるように思う。

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