Mikiki編集部員とTOWER DOORS担当・小峯による、最近トキめいた邦楽曲をレコメンドする週刊連載〈Mikikiの歌謡日!〉は、毎週火曜(歌謡)日に更新中。今週は第62回です。紹介した楽曲はSpotifyのプレイリストにもまとめているので、併せてお楽しみください。 *Mikiki編集部
【田中亮太】
ラッキーオールドサン “街の人”
ラッキーオールドサンの新曲は、「愛がなんだ」が素晴らしかった今泉力哉監督の最新作「街の上で」の主題歌。変わりゆく街へのビタースウィートな想いを、丁寧に綴っています。新たな名曲ですね。1983の高橋三太氏によるトランペット・ソロがエモーショナルで、胸痛死するかと思いました。映画は「愛がなんだ」のナカハラくんこと若葉竜也さんが主演、舞台は下北沢。公開がたいへん楽しみです。
S亜TOH “ガバじゃなきゃ(feat. Ken truths)"
S亜TOHが5月31日にリリースしたファーストEP『homo』より。盟友のKen Truths(Us)をフィーチャーしています。彼らの歌う〈ネオトーキョー〉に自分は暮らしていないと思うけれど、彼らの魂がそこで瞬くさまはちゃんと見ていたい。
ヨットヘヴン “とつとつと”
路地のメンバー数人を含む新バンドのニュー・シングル。朴訥としてウェルメイドなようでありつつ、妙にヒリヒリとした切実さも感じられて、そこに無性に惹かれます。
KENT VALLEY “Hop along”
Turntable Films谷健人のソロ・プロジェクトが早くも4曲目のシングルを発表。精力的ですね。平熱な温度感の打ち込みに、吉田省念氏によるナイス・ムードなギター&パーカッションが重なるさまがとてもキュート。それにしても谷くん、京都系と言われたインディー・ポップの正当な後継者が、まさかあなただったとは思いもしませんでしたよ。
【酒井優考】
笹川真生 “悪魔”
尖り具合と緩さの緩急の付け方が絶妙。
くるり “心のなかの悪魔”
偶然悪魔繋がりになってしまいました。未発表曲集『thaw』より、レビューにも書いた通り、牧歌的な曲調なのに重大な局面に現れる悪魔について歌った楽曲。
【天野龍太郎】
KID FRESINO feat. カネコアヤノ “Cats & Dogs”
私的今週の一曲。
活躍するフィールドはちがうけれど、なんとなく納得感と運命感のある、あんまりにも素晴らしい組合わせ。別々に作られたFRESINOのラップ・ソングとカネコさんのフォーク・ソングがシームレスに繋げられたかのような、不思議なつくりにうっとりしました。こういう、ごつごつとした〈協同〉や〈共生〉のあり方もいいんじゃないか、って思わせられます。温かいけれども、聴き手をドライに突き放すソーシャル・ディスタンシングも感じる、いまこそ聴きたい一曲。
Dos Monos feat. Audrey Tang 唐鳳 “Civil Rap Song”
Dos Monosと〈ITの神〉こと台湾のデジタル担当政務委員であるオードリー・タン(唐鳳)の共演、というものすごい曲。〈Civil Rap Song〉という曲名も最高にクール。いま大事なのは、まさに〈Civil〉の感覚だと思います。
宇多田ヒカル “誰にも言わない”
『Fantôme』(2016年)と『初恋』(2018年)で挑んだリズムやフロウの挑戦が、アトモスフェリックでなめらかなR&Bとして表現されています。ふわっとたゆたうような音像なのに、どこかダンス・ミュージック的なのは、やっぱり小袋成彬さんの仕事。
長谷川白紙 “シー・チェンジ”
カヴァー・アルバム『夢の骨が襲いかかる!』に収められた新曲。ギミックもてらいもなくて、ただひたすらに心地いい曲で、ミュージシャンとしての、またソングライター/コンポーザーとしての底知れなさと真骨頂とが同時に表れている、と感じました。
【小峯崇嗣】
chillbill. “muchuu”
2019年11月にネット上で知り合ったシンガー・ソングライターの〈ちる井〉とトラックメイカーの〈orocodat(オロコダット)〉によるデュオ、chillbill.の5月にリリースしたシングル"muchuu"から。ローファイヒップホップ風のトラックに、煌びやかなシンセサウンドをのせ、オートチューンがかかった淡くリラクシンな歌声がマッチした一曲に仕上がっています。
chillbill.には、TOWER DOORSからメール・インタビュー〈6つの質問〉を行っています。今後注目間違いなしなので、ぜひ一読を!
MYRRH ”By the way”
R&Bシンガー、MYRRH(ミルラ)のデビューシングル”By the way” から紹介。魔法にかかったように惹きつけるシルキーなエンジェルヴォイスと、スロウテンポでスムースなジャジートラックが絡み合った極上の一曲です。海外のR&Bと共鳴するほど素晴らしい出来になっています。
THE ECHO DEK “Feynman”
2014年に野呂、シモヤマを中心に結成されたTHE ECHO DEKが先週リリースしたEP 『Love Like an Empty Room』から”Feynman”をご紹介。
ダンスポップ調のリズムに神々しいシンセ、清らかなギターのアルペジオなどが混ざり合ったサウンドにうっとりしてしまう一曲。またファルセットな歌声がマッチしていて素晴らしいです。1975やD.A.N.好きなリスナーにおすすめしたいです。