レディー・ガガのニュー・アルバム『Chromatica』は最高だ。前作『Joanne』(2016年)ではカントリーを採り入れたりと、アメリカのルーツ・ミュージックと向き合ってきた近年の方向性とは違うサウンドが鳴っている。疾走感溢れるジャングル・ビートが突如鳴り響くエルトン・ジョンとの“Sine From Above”、初期のダフト・パンクやスターダストあたりのフレンチ・ハウスを想起させる“Rain On Me”(アリアナ・グランデが客演)など、私たちを奮い立たせ、踊らせるダンス・ナンバーばかりだ。女性讃歌の“Free Woman”を筆頭に、歌詞も聴きどころが多い。筆者のお気に入りは“Sour Candy”だ。BLACKPINKとコラボしたこの曲には、〈女性らしさ〉を求める人たちへの皮肉が滲む。