世界的に大ブレイクしたコロンビアのスーパースターがもっとカラフルになって帰ってきた! 色とりどりの感情と遊び心に溢れた新しいレゲトンで楽しもう!

チャートは二の次でいい

 今年2月に行われた〈スーパーボウル〉のハーフタイム・ショウはダブル・ヘッドライナー。ジェニファー・ロペスとシャキーラの2人がトリを務めた。開催地となったマイアミはラテン系の人たちが多く住む、南米への玄関口ということもあって、当初は2人の他にもラテン界の新旧スターが総出演するのでは?と多くのメディアが色めきたった。リッキー・マーティン、ピットブル、カミラ・カベロ、マルーマなど英語圏でも活躍するラテン系アーティストが勢揃いして、最後はグロリア・エステファンの“Conga”を全員で歌って大団円では?と。ところが蓋を開ければ、大いに盛り上がったとはいえ、ゲストとして登場したのはたったの2人。ジェニファーと同じプエルトリコ系のバッド・バニー、シャキーラと同じコロンビア出身のJ・バルヴィンの2人だけに白羽の矢が立った。共に世界のヒット・チャートを荒らしまくる当代きっての人気者であり、昨夏にはコラボ・アルバム『Oasis』も一緒にリリース。ミレニアム前後のラテン・ブームで名を築いたメイン2名の存在感やステイタスはもやは揺るぎのないものだが、そこに乱入する形で登場した2人の男性ゲストからは、新しいラテンの息吹やパワーを大いに感じさせられた。J・バルヴィンはこんなふうに振り返る。

 「出演依頼を受けたのは5か月ほど前だったかな。とにかく強烈なインパクトを残せないものかと考えた。みんなの心に訴えかけ、記憶に残るようなパフォーマンスにしたいとね。全世界が注目するあんな大きな舞台でラテンのカルチャーを伝えることができるなんて、すごく光栄だし、誇らしいこと。バッド・バニーとは〈一緒にムーヴメントを起こそうぜ!〉って結団したよ」。

 その一世一代の大舞台を終えた後、バッド・バニーは『YHLQMDLG』をすぐさまリリース。その後を追うかのようにJ・バルヴィンもニュー・アルバム『Colores』を完成させた。新型コロナウイルスや人種/人権問題で世界が揺れるなか、あえて予定通りにリリースしたかったのだという。

 「ギリギリまで迷ったよ。こんな状況下でリリースしたものかどうかって。でも最終的に決断したのは、世界がこのアルバムをいま必要としていると思ったからなんだ。チャート・アクションや成績なんて二の次でいい。とにかく真摯な気持ちでこのアルバムをみんなの元に届けたかったんだ」。