chelmico『maze』かさぶたを食った幼少期があるから、いまの自分がある。

2020.08.25

mabanua、ryo takahashi、TOSHIKI HAYASHI(%C)、U-zhaanらが参加したメジャー3作目。初顔合わせも多数で、多彩な表情を見せる二人が軽快なラップ&シンギンで颯爽とジャンルを飛び越える様は実に痛快! らしいアプローチの“Easy Breezy”から長谷川白紙との新境地“ごはんだよ”、思い出野郎Aチームとの“エネルギー”までを収めた充実作。初回限定盤に付くDVDでは贅沢すぎるライヴ映像も堪能できちゃいます。

 


いま波に乗るchelmicoのサード・アルバムは、彼女たちのライブにも欠かせないTOSHIKI HAYASHI(%C)や、これまでの作品にも参加してきた思い出野郎Aチーム、U-zhaan、ESME MORIなど、文字通り多彩なメンツの楽曲をごちゃ〈混ぜ〉にした作品に。

アゲアゲな“Easy Breezy”からトライバルなリズムの“Terminal 着、即 Dance”や“jiki”へと続くと気分はまるで異国旅行。そこから、彼女たちも〈怖い歌〉と呼ぶ“いるよ”などちょっぴりホラーなゾーンを潜り抜けると……長谷川白紙が手掛けたいい意味で支離滅裂なトラックに乗せて子供時代の思い出をひたすらにラップする“ごはんだよ”で、この旅路が自分の幼少期へ向かっていたことに気付く。昔は何でも大きく見えて、楽しくて、不思議で、ちょっと怖い。いまの自分があるのはあの頃のドキドキワクワクがあったおかげなのだ。……などと、2人の〈食ったかさぶた うまい〉というバースに大爆笑しながら考えたり考えなかったり。

追憶から我に返ると、そこは2020年夏の旅の途中。バカンスを楽しむ“Premium・夏mansion”から、コロナ禍でなかなか行けなくなってしまったクラブへ“Disco (Bad dance doesn’t matter)”で想いを馳せたところでハイライト。最後は彼女たちらしくしっとりと“milk”、そして楽しく“GREEN”で旅路を締める。

〈アポカリプス〉〈ビロビロ〉〈口くっさー〉など耳にこびりつく単語が飛び出すラップのRachelと、ラップと歌(それも時折ブルージー)を自在に行き来するmamiko。頭のなかはいつだってごちゃまぜだけど、実は全部にストーリーがあって、繋がっていて、いまがあるのは過去があるから。嫌なことも悲しいこともあるけど、過去があるからいま楽しい。二人の持つパワーがそんなことを教えてくれる。

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