Photo by 三浦麻旅子

鳥山雄司と仲間たちの豪華共演を〈最前列〉で堪能する

 本来は今年3月、人見記念講堂での開催が予定されていた〈鳥山雄司 ~Happy 60~〉。この重鎮アーティストの還暦を祝うコンサートシリーズ第1弾は、大好評を得た〈武部聡志 Original Award Show ~Happy 60~〉。3年ぶりとなる第2弾も大きな期待と耳目を集めていたが、現下のコロナ禍であえなく中止の憂き目に……が、主役自身と各ゲストやスタッフ陣の情熱は冷めやらず、無観客収録によるプレミアム・ライブという代替形態に装いを変えての〈@Billboad Live YOKOHAMA〉として有料配信される運びとなった(詳細はこちら)。プロデュース/音楽監督は件の〈盟友〉武部聡志、自身が祝われる立場だった前回では〈最後に御本人登場!〉という演出だったが、今回は1曲目“The Song of Life”のアコギ独奏から全13曲を〈主役が弾きまくる〉というファン垂涎の〈鳥山らしさ〉を選んだのはさすが。しかも現下の無観客空間を逆手に活かしての自在な撮影スタイルが功を奏し、29機の導入カメラが天才ギタリストの折々の表情から爪弾き、華麗な運指から多彩な機材のフットワークまでを具に映し出しており、世代を超えてギターマニアの琴線を揺らすことは必至だ。主役自身が巻頭挨拶を終えると2曲目から惜しむことなく、〈アマチュア時代からの仲間〉神保彰(ドラムス)と和泉宏隆(キーボード)を迎えてのユニット編成、Pyramid(+須長和広b)で“Tornade”を弾きまくる鳥山。次いで〈インストゥルメンタルを演る上で欠かせない、もう一人〉の本田雅人(サックス)が加わっての“Overnight Journey”が繰り出される飛ばしぶりが爽快だ。そして〈出逢いから丁度20年間の付き合い〉となる葉加瀬太郎が登場し、いきなり弾き出したのが“エトピリカ”、葉加瀬のソロとしての成功を決定づけた代表曲の一つだ。さらに一緒に創り/語り/飲んで/旅した積年のツーショット秘話を挟んで、今度は〈Pyramidとは15年ぶりの共演〉となる“大地のうた”を。番組終盤で披露される〈葉加瀬太郎 with Spesial Band〉の“情熱大陸”、同じ編成で再奏される“The Song of Life”同様、濃密で優雅で雄大なサウンドがそれ自体で彼らの親和性と友情を物語って思わず魅惑される。