インタビュー

ブッチャー・ブラウン(Butcher Brown)『#KingButch』ウェザー・リポートの切り開いた道があって僕らが存在できている!

©JacobBlickenstaff

ウェザー・リポートが切り開いた道があって、僕らが存在できている!

 この数年、ブッチャー・ブラウンの名前は確実にシーンに浸透してきた。カマシ・ワシントンとステージを共にし、ニコラス・ペイトンのアルバムにフィーチャーされ、メンバーのDJハリソンはStones Throwからソロ・デビューを果たし、ドラマーのコーリー・フォンヴィルはクリスチャン・スコットのグループでも活躍している。そして、遂にメジャーからのデビュー作『#KingButch』がリリースとなった。

BUTCHER BROWN 『#KingButch』 Concord/ユニバーサル(2020)

 「全員ヴァージニア州のリッチモンドで出会ったと言っていい。地元で様々なグループで一緒にプレイし始めて、こんな形でバンドとして活動するのは自然の流れだった」(アンドリュー・ランダッツォ)

 「このバンドは、聴いて育った全ての音楽のハイブリッドだね。子供の頃からラップをよく聴いていて、両親が聴いていたファンクやソウルも、父親は特にジャズも聴いていたし、他のタイプの音楽が好きな友達も多い中で育った。リッチモンドではたくさんの面白い人達に出会うし、音楽的にもとても多様性のある都市なんだ」(コーリー・フォンヴィル)

 ブッチャー・ブラウンの音楽は確かにハイブリッドだと言えるが、ある音楽を更新しているという意志がある。今回、アルバムのアートワークをウェザー・リポートの『Heavy Weather』や『Mr. Gone』を手掛けたコラージュ作家のルー・ビーチが担当していることが、それを象徴している。

 「ウェザー・リポートには、とてつもなく大きな影響を受けたよ。僕らのような(グループでもバンドでもない)組織が存在出来るように道を開いてくれたんだ。昔からある伝統的楽器を誰も知らない世界へ連れて行って、たくさんの人たちが共感できるような新しいものを創り上げたんだから。ミュージシャン意識が非常に高い音楽は、過小評価されるか、大衆向けではないと判断されることが多い。それなのに、彼らはその両面を同時に覆した。僕らがやろうとしていることの1つはまさにそういうこと」(マーカス “テニシュー”テニー)

 ブッチャー・ブラウンに見られる過去の音楽のハイブリッドのさせ方が、一昔前のミクスチャー・バンドと異なるのは、ヒップホップのサンプリングのようなフラットな視点を演奏レヴェルで実現しているからでもあるだろう。現在、彼らは#MothershipMondayという、自分たちに影響を与えてきた音楽に対するオマージュ的なシリーズとして、好きな曲のカヴァーを毎週SNS上で発表して注目されている。ライヴができない状況は続くが、その演奏と制作へのアプローチは、オンラインで新たな手応えを掴んでいるようだ。

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