そういう世界であってほしい
そこから〈おとぎの国を駆けて〉新しい物語へと至る解放的な“グリム”を経て、アルバムは最後の楽曲“エンジェルナンバー”へ。「ひとりぼっちでも、何か抱えて、苦しい思いをしていても、誰かがちゃんと見守っているから」という天使の目線で描かれた、迷える人々の代わりに理不尽な世界に怒り、そのままの〈あなた〉を受け入れてくれる、優しい歌だ。
「“世界一幸せなひとりぼっち”で始まって“エンジェルナンバー”で締める曲順にしたのは、いろんな問題提起があったとしても、あなたはあなたのままだから、結局はそれでいいんじゃない?っていう、否定も肯定もしないブッダ的な感じというか。〈それがいいんじゃない〉という歌詞は、自分にも向けているんですけど、どうしても他人と比較しちゃったり、人種やLGBTQを含めていろんな人間がいるなかで、〈それはあなたの個性だから〉って私は思いたいし、そういう世界であってほしいと思っていて。いまはいろんな悲しいニュースがありますけど、逃げたいときには逃げてほしいし、もっと怒っていいと思うし、シンプルだけど、もっと笑える世界がいいよなあっていう想いで書きました」。
以前のmajikoであれば、きっとここまで外の世界に目を向けた楽曲は生まれなかったように思うし、それはきっと“世界一幸せなひとりぼっち”で描かれた心境の変化が育んだものなのだと思う。いまの彼女は以前に比べて、自分自身に対して自信がついたように見えるのだが、実際はどうなのだろう?
「昔よりもきっと自信はついてるんだと思います……ほんのちょっとずつ、ついたり消えたりしてますけど(苦笑)。自分でも戒めじゃないですけど、私は私なんだから、ちゃんと自分に自信を持たねばと思っていて。でも、このアルバムを作る前よりは全然自信がついたし、成長も感じたし、新たな知識も増えて。最近いいスペックのPCを買ったので、これからそのPCを組み立てて、晴れやかな気分で1曲目を作ろうというところです(笑)」。
majikoの近作を紹介。